「女芸人コンテスト」はアメリカではタブー! MTVでも男女別の表彰廃止に

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新しいお笑いコンテスト誕生!

 日本テレビは6日、年末に「女芸人No.1決定戦 THE W(ザ ダブリュー)」を開催することを発表した。お笑いコンテストには「M-1」「R-1」等様々あるが、出場者を女性に限定したのが今回の特徴だ。

 テレビで女性芸人を見ない日はないほどだから、こうしたコンテストが開かれるのも不思議はない――というのは、日本人的な感覚だろう。

 アメリカで同様のコンテストを開催しようとしたら、ひと悶着あるのは確実だ。というのも、このように「女性を特別視」すること自体が差別だ、というのはすでにコンセンサスとなっている。要は「政治的に正しくない」のだ。

 こうしたアメリカのリベラル事情をレポートした『リベラルという病』(山口真由・著)にはこんな場面が紹介されている。著者の山口氏は、元財務相キャリアの弁護士。2016年にハーバード・ロースクールを卒業し、ニューヨーク州でも弁護士登録をしている。

 そのハーバード・ロースクールの交渉術のクラスで、中国人の男子学生がアメリカ人の女子学生と交渉の練習をしていた。男子学生は、講師から「あえて強面の交渉相手として交渉するように」と指示されていたため、女子学生を相手に威圧的な調子で交渉を続けた。

 終わった後、講師から、今日の出来がどうだったかという講評を受ける。感想を尋ねられた彼が答えた。

「申し訳なかった」

「なぜ申し訳なかったの?」と講師が尋ねる。

「だって、相手チームは女性1人だから」

「女性を守ってあげたい」は差別

 ざわざわしていた教室が、一瞬でシーンと静まり返る。女性の講師は、それまでとは打って変わってトゲのある調子で彼に尋ねた。

「それ、どういう意味?」

 それに対して、男子学生はこう繰り返したのだ。

「だって相手チームは女性で、女性を守ってあげずに攻撃するというのは、やっぱり申し訳なかったと思う」

 その瞬間、男子学生に相対していた交渉相手の女子学生の顔が、後ろから見ていてもはっきり分かるくらい真っ赤になった。

「つまり、あなたは、私が『女性』という理由だけで、私への交渉態度を変えるべきだったっていうの?」

 烈火のごとく繰り出される彼女の抗議に、男子学生はおろおろするばかり。教室中の女子学生もみんな彼を非難の目で見ている。それ以降、その男子学生は、クラスの中で「性差別主義者」というレッテルを貼られてしまったのだ。

 山口氏自身は、その男子学生の言動が悪意に基づくものではないと容易に理解できたものの、「アメリカのリベラルな地域では、こういう『レディ・ファースト』すら女性差別になる。女性は守るべき弱い存在、そう見ること自体が女性差別というのだ」と解説している。

すでにエンタメの世界でも

「でもそれって、大学とかそういうところの話でしょ? エンタメの世界は別では?」

 そう考えるのは甘いかもしれない。

 今年から米MTVが開催する「MTVビデオ・ミュージック・アワード」では、男女の区別がなくなった。昨年までの「最優秀女性アーティスト」「最優秀男性アーティスト」といった部門が廃止、統合されて「最優秀アーティスト」になったのだ。リベラルが理想とする「政治的な正しさ」は確実に勢力を増しているといえる。

 それと比べれば、「女芸人ナンバー1」を無邪気に開催できる日本は、実に寛容で自由な国なのである。

デイリー新潮編集部

2017年9月8日掲載

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