泥棒市場と化した「メルカリ」 万引き本800冊出品でも放置
時価総額1000億円超
後東氏が続ける。
「我々としては警察が立件できなかった被害もすべて調べ上げて民事で責任を追及するつもりです。なぜなら、単なる万引きではなく、盗品をメルカリで大量に売りさばくということをやっていた。これは小売業界を揺るがす問題です。あまりに簡単に匿名で出品でき、チェックもされない。泥棒にとってこの上ないシステムです。実際、メルカリで〈新品・未読〉という単語で検索すると、今も新刊本がずらりと出てくる。どれが盗品とは言えませんが、大量の新刊本を個人が売り買いしているのはおかしい。これを放置しているメルカリは泥棒市場と言われても仕方ありません」
本誌(「週刊新潮」)は8月10日号でもメルカリの問題を取り上げているが、改めて説明すると、同社はネット上でフリーマーケットを主宰している会社だ。
利用者は電話番号など簡単な登録をするだけで品物を売買することができ、その手軽さから1日100万点が出品されているという。わずか4年前の設立にもかかわらず、今では売り上げ122億円。IT業界では最も成長が期待されている企業でもある。今年の12月には東証への上場が予定され、その暁には時価総額が1000億円を超えるとも言われているのだ。
ところが、ここに来て、多重債務者を狙った「現金」の出品や、援助交際を匂わせる出品が相次いで社会問題になっていることは本誌でもご紹介した通り。また、盗品が売買されていることも、かねてから指摘されていた。
ITジャーナリストの三上洋氏が言う。
「もともと盗品の売買はヤフーオークションが多かったのです。ところが、ヤフーが顔写真付きの本人確認を求めるなど厳格化すると、手続きが面倒なこともあって売買の主流がメルカリに移ってきた。合わせるように盗品売買の舞台もメルカリに移ったと言われていました。それでも実態が表沙汰になることは滅多にありませんでしたが、被害を目の当たりにすると、ここまで酷かったのかと愕然としますね」
もっともメルカリでは250人のカスタマーサポートが24時間体制で出品物を監視しており、盗品に関わる照会案件も100万人に6人程度と少ないとしている。
だが、実態はどうだろう。実は平惣の事件の前にも大量の盗品がメルカリで売られていた事例がある。
***
(下)へつづく
[3/3ページ]