山中慎介、新王者ベルト剥奪でも引退か ジム会長と本人が明かす

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「最後」と決めて…

 敗戦翌日に山中は、防衛成功でも引退の可能性があったとしつつ、進退は留保。一方で“タイトルが戻っても拒否する”と明言したのは帝拳の本田明彦会長である。あらためて聞くと、

「陸上競技で金メダルが剥奪されて銀が繰り上がるのとはワケが違う。1対1で殴り合って、結果が出ているわけですから」

“負けは負け”だというのだ。

「本人は元々『王者のまま引退したい』と言っていて、やることは十分やった。それが今更、相手が失格でベルトが戻っても『はいそうですか』と受け入れるのは、日本人の倫理観からすればおかしいと思う。私も山中も、戦う価値のある強いネリを相手に『勝っても負けてもこれで最後』と決めて頑張ってきたのです」

 タオル投入の判断にも、当初は怒り心頭だったが、

「トレーナーが山中の身体を考えた結果で、お互い最後と思って臨んだのだから受け入れようと。そう思い直している時に騒動が降りかかってきたから、周りも『なぜ引退させるんだ』となるわけです。山中の考えは確かめていませんが、もし続けたいと言っても“ベルトが戻ったから他の選手と防衛戦”という選択肢はない。そうなれば日本のボクシング界は終わりです」

 というのも、

「ボクシングは続ければいいというものではなく、10回以上も防衛すればモチベーションの維持は難しい。お金も貯まって、彼には幸せな家庭もあります。だからこそ『最後は記録に並んで終わろう』となったのです。それをもう1回というのは、難しいですよ」

 当の山中も、こう言うのだ。

「現役を続けるならネリとの再戦しかないのですが、引退するか迷っていたら薬物報道が出て、正直、気持ちが追い付いていけません。整理がつかないまま話が展開していって、ゆっくり考えたくてもできないのです」

 悩める拳の向く先は……。

週刊新潮 2017年9月7日号掲載

ワイド特集「天つたふ日ぞ 楽しからずや」より

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