金正恩が高笑い… 撃ち落とせない「北朝鮮弾道ミサイル」

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イージス・アショアでも…

 ところが──、

「日本のミサイル防衛ではとても撃ち落とすことはできません」

 と、防衛省関係者は語る。

「現在は、イージス艦及び地対空誘導弾パトリオット (PAC3)の二段階でミサイルを迎撃する仕組みになっています。イージス艦に関してはSM3という迎撃ミサイルで弾道直下から撃たないと、精度が落ちます。ですが、発射の兆候を掴めずに撃たれてしまえば、弾道直下に艦を移動させるのは不可能なのです」

 PAC3も同様で、

「全国に34基配備されているものの、射程範囲は半径20キロほど。仮に撃ち落とせたとしても、その破片が音速で周囲に降り注ぐことになります」(同)

 そうした不安を払拭するため、実現可能な防衛策が進められている。一つは現状6隻あるイージス艦をさらに2隻建造しようというものだが、

「これまで主に三菱重工が受注していたのですが、この2隻に関してはより安く応札した、IHI(石川島播磨重工業)などを母体とするジャパン マリンユナイテッド(JMU)という会社が請け負うことになりました。しかし、イージス艦に関してのノウハウがなく、三菱も株主の手前、技術提供に難色を示している。建造が難航しているのです」(同)

 さらに、イージス艦の陸上版と言えるイージス・アショアを導入すると防衛省は決定した。

「アショアはイージスのレーダーシステムと最新型の迎撃ミサイル、SM3ブロック2Aを日本海側の陸上に配備し、イージス艦の負担を減らそうというもの。2基作れば、日本全域をカバーできると言われています。迎撃の最高高度は1200キロ。とはいえ、北朝鮮は今年5月に火星12型を高度2100キロ超まで達するロフテッド軌道で打ち上げています。そうなれば、迎撃することは不可能です」(同)

 軍事ジャーナリストの宮田敦司氏が続ける。

「いずれにせよ、イージス艦には8基ずつしかSM3を搭載していないとされ、仮に50発ものミサイルを撃たれるような飽和攻撃となれば、PAC3と合わせても対応することは難しい」

 元航空自衛官でジャーナリストの潮匡人氏は危機感を強める。

「この発射を受けて、アメリカがより高圧的な態度をとれば、北朝鮮は火星12型より射程距離が長い火星13型の発射や核実験など、さらに軍事的挑発を活発化させる可能性があります」

 安倍総理はミサイルが着弾した直後、

「発射直後からミサイルの動きを完全に把握していた」

 と胸を張った。しかし、その言葉に比して露呈したのは脆弱すぎる、日本の防衛態勢なのであった。

週刊新潮 2017年9月7日号掲載

特集「『Jアラート』機能せず! 『金正恩』朝鮮労働党委員長高笑い!! 撃ち落とせない『北朝鮮弾道ミサイル』」より

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