江本孟紀が語る、“視界グニャリ”加齢黄斑変性からの復活

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ルテインの効能

 7年前、この病に襲われた野球解説者の江本孟紀氏が振り返る。

「2010年の暮れでしたか、たまたま左目だけで物を見た時、直線が丸みを帯びて見えたのです。右目や両目で見ると問題なかったのですが、知り合いの眼科で『加齢黄斑変性では』と言われ、大きな病院でもそう診断されました。漢字だらけの初めて聞く病名で、びっくりしました」

 直ちに治療を始めたが、

「治療法が確立されておらず完治は無理で、VEGF抗体(抗血管新生薬)という薬を注射して進行を遅らせることしかできない、と告げられました。もちろん眼球麻酔はしますが、眼に直接注射をされるのは怖かった。それを2カ月に1度くらいの割合で約1年間続けました」

 肝心の費用は3割負担で1回5万円ほど。眼の毛細血管が充血し、破裂による失明の危険に晒されてきた江本氏は、

「その後の検査で進行が止まっていると分かってから、注射は打っていません。現在は3カ月に1度、定期検診に通っています。今でも左目だけ使うと歪んで見えますが、日常生活に支障はありません」

 先の森准教授が言う。

「病気の原因としては、まず喫煙。体内の活性酸素が増えて黄斑部の細胞に異常をきたすとされています。また日光の紫外線や、パソコンやスマートフォンから発せられるブルーライトも程度によっては原因となり得ます」

 その予防には、ある天然色素が重要だという。

「加齢とともに黄斑に存在する『ルテイン』が減少し、光が入ってくると直接ダメージを受けるようになる。米国の国立眼病研究所が実施した研究でも、ルテイン摂取が加齢黄斑変性リスクを減少させるとの結果が出ています」(同)

 管理栄養士の則岡孝子氏に聞くと、

「ホウレン草やブロッコリー、ケールなどに含まれるルテインは水晶体や網膜の酸化を防ぐ作用があり、黄斑変性症だけでなく白内障予防にも効果があります。水に溶けにくい脂溶性のため、油と絡めれば効率よく摂れます。ホウレン草は胡麻和え、レタスとキャベツにはオイルドレッシングやマヨネーズがよいでしょう。また緑茶にも多く含まれ、魚のムニエルに抹茶を加えるなど活用すれば、香りも出て食事を楽しめます」

 ちなみに“眼に良い”とされているブルーベリーは、抗酸化作用はあるものの、

「眼の病気を予防するという科学的エビデンスはありません」(日本眼科学会理事長の大鹿哲郎・筑波大教授)

 食は重要なカギなのだ。

週刊新潮 2017年8月31日秋風月増大号掲載

特集「『失明』『認知症』を招く『白内障』『緑内障』『加齢黄斑変性』を完全防御」より

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