誰もが襲われる「白内障」 最も危険なのは“夏の太陽”
従来、あたかも自然の成り行きのごとく捉えられてきたのが白内障であろう。何しろ60代では60%以上、80歳以上ではほぼ100%が罹るとされており、まさしく加齢に伴う国民病というわけだ。それでも、早期発見に如くはなし――。
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金沢医科大学病院の佐々木洋・眼科科長が言う。
「眼の水晶体の33%は、クリスタリンというたんぱく質でできています。これが加齢や紫外線照射、酸化ストレスなどによって凝集することで濁りが生じるとされています。水晶体が混濁すると眼に入る光が散乱し、像がかすんだり二重に見える原因となります」
紫外線については、次のような調査結果がある。
「赤道に近いタンザニアでは、眼の浴びる紫外線量が日本の3倍以上と言われています。私たちが現地で行った調査では、40代から老眼や白内障に罹っている人が多く、50代以上では失明あるいは著しい視力低下が多数みられました。つまり、紫外線と白内障との間には強い因果関係があると言えるわけです」(同)
国内でも高齢者に限らず、強度近視だと40代で発症するリスクがあるという。
喫煙や多量飲酒もまた、白内障の要因となる。
「お酒を飲みすぎると眼の内部にエタノールが入り込んでくるという学説もあります。一方、興味深いことに適度の飲酒は、かえって全く飲まない人より白内障リスクが半分になるという研究結果があるのです」(同)
この点は、生活習慣病である動脈硬化のリスクにおいても、同じ傾向が示されている。
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