読めば世界が変わる! 人生で必読の“めっちゃスゴイ”3冊 

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 暑い、暑い夏。学生時代は、夏休みになると、読書感想文なんて代物が宿題で出され、課題図書をイヤイヤ読んだ、なんて方も多いはず。でも最近は、PCにタブレットにスマホ、家で簡単に楽しめる娯楽が増えて、めっきり本から遠ざかっているなんてあなた。こんな暑い夏こそデジタルデトックス。スマホをそっと隅に置き、涼しいクーラーの効いた部屋の中で、まったりと本を開いてみてはどうだろうか。

 そうは言っても何を読んで良いかわからない…なんて方は、読書家におすすめの本を聞いてみるというのもひとつの手。宝塚ファンの生態を描いた大人気コミックエッセイ「ZUCCA×ZUCA」の著者はるな檸檬さんは、もちろん大の宝塚好きとして知られているが、実は幼い頃から大の読書家でもある。はるなさんは読書エッセイ「れもん、よむもん!」で、幼少期の読書体験を振り返り「読んでいると周りの音も風景も消えて世界がガラリと変わるような感覚」と読書の魅力を語っている。今回は、そんなはるな檸檬さんおすすめの本を3冊ご紹介――。

椎名誠『岳物語』

 幼少期から父親の本棚を漁り、読書にふけっていたはるなさん。ある日、椎名誠著『岳物語』に出会った。椎名さんと息子岳くんの日常を描いた優しくて明るい私小説を読み、はるなさんの中で何かスイッチが入ったと言う。

 結局一度も椎名さんに遭遇することはなかったが、妙齢になっても思い続けてしまうほど、椎名さんの文章に惚れたという。

山田詠美『蝶々の纏足・風葬の教室』

 高校生になったはるなさんに、1人の友人が出来た。その子は偶然同じ名前の、はるなちゃん。他の女の子とはちょっと違う雰囲気を持つ彼女に、俄然興味が湧いたはるなさんは、読書という共通の趣味を通じて彼女との親交を深めた。そんな彼女の影響で読み始めたのが山田詠美さんの小説だった。

 現実のはるなさんには、えり子のような幼なじみも麦生のような恋人もいなかったけれど、『蝶々の纏足・風葬の教室』はたしかに現実と地続きの小説だったと、はるなさんは語る。そして、その物語を同じ温度で語り合える友人・はるなちゃんを得たことも大きな喜びだったという。

吉本ばなな『キッチン』

 高校時代、山田詠美さんと同様に、はるなさんが貪るように読んだのが吉本ばななさんの作品だ。はじめて読んだ作品が『キッチン』。そこには、自分が現実の世界では出会ったことのないような言葉づかいや考え方をする人たちが描かれていて、遠くにある知らない世界をながめているような気分だったという。

 吉本ばななさんの作品を読んだときの感覚を、はるなさんは「東京だ」と感じていたという。誰もがひとりひとり淡々と孤独で、それが当たり前というような空気が根底にあり、それに強く惹かれたと振り返る。

 はるなさんは「はじめはただ面白くて夢中になっていた読書が、思春期にはなくてはならないライフラインのようになっていました」と読書に想いを馳せ、そして「本を読むって、ある意味『自分よりずっと物事を深く考えている先達の、頭の中をのぞき見る行為』っていうか、それってめっちゃお得でスゲーことじゃないですか。私は寝そべってるだけなのに、世界中のすごい人たちの頭の中を見させてもらって、それってなんかもう希望でしかない!」と熱く語る。

 何をしても汗ばむこの季節。レジャーももちろん楽しいけれど、時にはふと立ち止まり、先達の頭の中をのぞき見したら、未知の世界が待っているかも。

デイリー新潮編集部

2017年8月29日掲載

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