安倍総理が甦らせた「マッカーサーへの忖度」 占領秘史が示す加計・森友問題の“原点”

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与野党の「忖度合戦」

「これはマ元帥の心中を忖度しての話でありますけれども、日本政府の――これは吉田内閣と限つたことではありませんが、終戦後今日までの日本の政府のやり方について、マッカーサー元帥としてもはなはだ不満足であるだろうと思います。また不満足であるという意見も漏らしております。これに沿うためには、これと協力するためには、日本政府も、また国民も、真に日本の復興のために熱意を示すということにならなければいけない」(1948年12月21日、衆議院予算委員会)

 吉田総理は“ワンマン宰相”と呼ばれた程、独裁的振る舞いを揶揄されたが、その彼がマッカーサーへの配慮が滲み出る答弁をしていた。そして、それは野党も同じだった。この年の7月にマッカーサーは政府に国家公務員のストライキを認めない旨の書簡を送ったが、それについての社会党の前田種男議員の発言を見てみる。

「司令部の命令は、ただ単にこの書簡ばかりでないと思います。終戦後いろいろな角度から、命令なり支持(原文ママ)、勧告がなされております。いろいろな角度から見て、司令部の意見を忖度しなければならぬと私は考えております」(1948年11月13日、衆議院人事委員会労働委員会連合審査会)

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(下)へつづく

徳本栄一郎(とくもと・えいいちろう)
1963年佐賀県生まれ。英国ロイター通信特派員を経て、ジャーナリストとして活躍。国際政治・経済を主なテーマに取材活動を続けている。ノンフィクションの著書は『角栄失脚 歪められた真実』(光文社)、『1945 日本占領』(新潮社)等多数、小説に『臨界』(新潮社)がある。

週刊新潮 2017年8月17・24日夏季特大号掲載

特別読物「『戦後レジームからの脱却』どころか『戦後返り』! 『安倍総理』が甦らせた『マッカーサーへの忖度』――徳本栄一郎(ジャーナリスト)」より

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