安倍総理が甦らせた「マッカーサーへの忖度」 占領秘史が示す加計・森友問題の“原点”

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海外メディアも「SONTAKU」に注目

 この忖度が国際的な関心を呼んだのは3月23日の夜、東京・有楽町の日本外国特派員協会(外人記者クラブ)で開かれた森友学園の籠池泰典理事長(当時)の記者会見だった。ここは敗戦の年の1945年、英米など連合国のマスコミを中心に設立された組織である。

 この日の昼間、籠池氏は国会での証人喚問で安倍総理夫人の昭恵氏付の政府職員から送られたファックスを明らかにしていた。2015年11月17日、国有地に関する森友側の要望を財務省に問い合わせた結果を報告した文面で、要望には応じられないとの結論だが、その後、財務省は大幅に値引きした売却を決定している。これについて会見で訊かれた籠池氏は「忖度をしたという事でしょう」と答えたが、ここでちょっとしたハプニングが起きた。

 通訳の男性は最初、忖度をreading between the lines(行間を読む)と訳したが、籠池氏の弁護士や別の通訳が割って入り、conjecture(推測)、surmise(推量)など幾つもの英訳が示されたのだ。この極めて日本的な表現をうまく伝えるのに各国の記者も大分苦労したようだ。米国のニューヨーク・タイムズは「舞台裏で働く力」、英国のフィナンシャル・タイムズは「出ていない命令に先回りして懐柔的に従う事」と解説を加え、まるで安倍政権下の日本に突如、忖度という得体の知れない怪物が生まれたようであった。

 だがもし、この会見を70年前の外人記者クラブの草創期の特派員が見たら思わず苦笑したかもしれない。目上の者の意向を事前に察知して進んで忠誠を尽くす、そうした日本人の忖度を最大限利用した男、それは戦後の占領期に絶対権力者として君臨した連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官、ダグラス・マッカーサーだったからだ。

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