地元民は逃さぬ美味、ヒラツメガニとウチダザリガニを「捕まえて、食べる」!
夏休みの課題は「捕まえて、食べる」!(3)
『捕まえて、食べる』(新潮社刊)の著者・玉置標本氏が夏休みに伝授する野生生物の捕まえ方と料理法。今回のターゲットはヒラツメガニとウチダザリガニだ。我々には聞きなれなくとも、その美味は地元民に広く知れ渡っているという。自分で捕れば鮮度も抜群。次の休日は「武器」を手に海川へ出撃だ。
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なにか特定の生物をハントするのに、そのために特化した特殊な道具を手に入れるという喜びもある。これはテレビゲームの世界ならお馴染みの構図だが、もちろん現実世界の狩りにも多数存在している。その中でも私が特に気に入っている武器(ウェポン)は、千葉県の外房エリアで使われている、「ヒラツメガニ」を捕まえるために開発された専用のカニ網だ。
これは1メートル弱の円錐状に広がるナイロンの網で、その頂点部分にオモリとエサを入れる袋が付いている。そして、この網とセットで使うのが、凧揚げ用の糸巻と100メートル程のロープだ。ポイントは千葉県の九十九里や茨城県の鹿島灘のような広い海岸で、サーファーがいない場所を選ぼう。
使用する場所は波が荒めの砂浜で、網の先端にロープを結び、波打ち際に投げ込んだ網を潮の力で沖へと流すのだ。すると網にセットしたエサ(魚の切り身など)の匂いに誘われて、寄ってきたカニが網に絡まってしまうのである。
この漁法で捕れるヒラツメガニとは、甲羅に「H」の模様がある10センチ程の小型のカニ。地元以外ではほとんど消費されないが、味噌汁にすると抜群のダシが味わえ、身も甘みがあってうまい。自分で捕まえれば鮮度だって抜群だ。
この網は釣具屋などでも購入可能だが、千葉県白子町の森川漁網店で売られている、店主お手製のカニ網が私のお気に入り。もし店主がいれば、詳しい使い方や捕れる場所のヒントも教えてくれるだろう。また投網(とあみ)にも力を入れている店なので、ゴルフや野球のスイングに自信がある貴兄は、思い切って一網買ってみるのも一興だ。
このカニ網のように、全国各地の地域に根付いて脈々と続いている“捕まえる遊び”を探し、その技をマスターすることが私のライフワークなのだ。
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