「金正男」暗殺 インドネシア人女性が暗殺犯に仕立て上げられるまで
騙されたのか。それとも確信犯なのか。金正恩の異母兄、金正男がマレーシアの空港で毒殺されたのは2月13日。実行犯として、2人の女が逮捕された。そのうちの1人、インドネシア人のシティ・アイシャ容疑者(25)は、北朝鮮の工作員によって、わずか40日で暗殺犯に仕立て上げられたのだ。
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逮捕後、アイシャは両親宛てに、1度だけ手紙を書いている。母親のべナさん(48)によれば、
「自分は元気にしているので心配しないでいい。早く裁判を終えて家に帰りたい、という内容でした」
アイシャは2008年に結婚。男の子を出産するも、12年に離婚した。現地紙の記者が語る。
「最近は、クアラルンプール郊外にあるホテルのスパで、パートタイムのマッサージ嬢として働いていました。が、その一方、『Haven4men』(男たちの聖域)というマッサージ嬢の派遣サイトにも『ケリー』という名で登録していた。料金は45分5000円。出張マッサージをしていて、ナイトクラブでもお客を探していたそうです」
彼女が、北朝鮮の工作員にリクルートされたのは1月5日のこと。
「午前3時、クアラルンプールの中心街にあるナイトクラブを出た後、マレーシア人のタクシー運転手がアイシャに声をかけた。彼女はすでに他の車を予約していたため、誘いを断った。もっとも、元々、2人は顔見知りでした。運転手が『新しい仕事をくれる人を紹介しようか』と言うと、アイシャは快諾したそうです」(同)
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