唾液で「がん5種類」をリスク判定 代謝物の組み合わせで検査
血液採取が苦手な人には、より手軽な方法がある。唾液によるリスク検査が実用化されていて、5種類のがんが、これまた初期でキャッチできるというのだ。
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唾液検査「サリバチェッカー」を手がけるベンチャー「サリバテック」社の代表で、「大泉中央クリニック」の砂村眞琴院長によれば、
「細胞内での化学変化により、生命活動に必要なエネルギーや物質が作られるのが『代謝』で、それに関わるのが代謝物質。この検査は、健康な人とがんの人との唾液に含まれる代謝物質の違いを統計的に計算し、疾患リスクを調べるものです」
とのことで、現在の対象はすい臓、大腸、乳、肺、口腔の5種類である。
「増殖が盛んながん細胞では、ポリアミン類という代謝物質の数値が高くなります。これらの濃度を測り、組み合わせパターンでどの物質が高いかを調べ、がん別のリスク値を出します」(同)
方法はいたって簡単で、
「太めのストローに唾液を流し込み、0・5ミリリットルほど採取したらマイナス80℃に冷凍して検査所へ送る。代謝物の数値が比較的高い朝に採取します」(同)
結果は1〜2週間で判明する。実施しているのは同院と「相模原中央病院」「東京ミッドタウンクリニック」「満尾クリニック」(広尾)の4カ所で、料金は2万〜3万5000円ほど。
「検査を始めたのは今年2月。私の病院では200人を超えました。リスク値は口腔がん0・3、肺がん0・4というように、1に近づくほど高くなります。同時にがん患者と健常者の平均値も出るので、自分のリスクが相対的に捉えられる。すい臓がんではステージ1、大腸がんではポリープが悪化した程度のステージ0、上皮内がんでも判明しています」(同)
サリバテックの杉本昌弘取締役が言う。
「すい臓がんの5年生存率は約5%。PET検査でも見落としがあるなどの結果、患者の約8割が発見時にはステージ4、全身転移の状態になっています。再発予防には有効な腫瘍マーカーも、早期発見には不向き。年1回の大がかりな検査ではなく、手軽に数回できる簡易な方法を開発する必要があると考えたのです」
今後は、胃や泌尿器系がんもカバーしていくという。