血液一滴、3分で「がん」細胞面積を検査 「プロテオチップ」の超早期発見法

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「メッセンジャーRNA」を測定

 同じ免疫細胞に、別の視点から注目した検査法もある。金沢大の研究をもとに石川県のベンチャー「キュービクス」社が開発した「消化器がんマイクロアレイ検査」だ。同社の丹野博社長が言う。

「血液中の免疫細胞ががんを攻撃する際に発現する、特定の種類の『メッセンジャーRNA』の量を測定することで、胃・大腸・すい臓・胆道の4つの消化器がんを一度に判定できます」

 メッセンジャーRNAとは、DNAの遺伝情報をコピーしてたんぱく質を合成する役目を担っており、伝令RNAとも呼ばれている。

「11年8月に始め、現在までおよそ1万5000人の方に受診いただきました。方法はまず、働きが解明されている4万4000個のDNAを表面に塗ったチップ(マイクロアレイ)を用意します。ここに発光試薬を加え、5ミリリットルほどの血液から抽出したメッセンジャーRNAを垂らす。DNAと結合して光を放つので、どんな種類が発現しているのか特定できるのです」(同)

 各部位のがんに対して免疫細胞が発するメッセンジャーRNAは、それぞれ数十種類ずつ存在するという。

「弊社と提携している医療機関は全国に約600カ所あり、費用は大体7万〜12万円。感度は98・5%で、がんでない人を判定する特異度は92・9%となっています。大腸がんで陽性が出て内視鏡検査を行ったところ、ステージ0でわずか8ミリというケースもありました」(同)

 むろん手術で除去し、すぐに完治したという。がん検診は血液で――。そんな時代が到来しそうなのだ。

週刊新潮 2017年8月17・24日夏季特大号掲載

特集「臨床試験を待たずに受診できる! 『がん』『アルツハイマー』超早期発見」より

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