すい臓がん、乳がん、アルツを早期発見 確率95%超「マイクロRNA」を体験してみた
可能性も見落とさない「ミアテスト」
その日が待ち遠しいあなたには、次の手がある。すでに民間で、この技術を用いた検査が行われているのだ。広島大が立ち上げたバイオベンチャー「ミルテル」社の開発した「ミアテスト」がそれで、13年から臨床に導入、乳がんとすい臓がん、そしてアルツハイマーのリスクまで診断できるという。
ミルテルの代表を務める広島大大学院医歯薬学保健学研究院の田原栄俊教授は、
「2つのがんやアルツハイマーに特有の、各5種類のマイクロRNAの数値によって、リスクを下からA〜Eの5段階で判定します。血液を一滴採取して血清を抽出し、RNAだけを吸着する物質を使って取り出したのち、倍々に増幅させて病気に特有のマイクロRNAの量をみる。AとEに関しては感度は95%以上となります」
E判定であればそのリスクは80%以上となる。現在、この検査が受けられる医療機関は全国に130カ所あり、費用は1種につき3万8000〜10万円。これまでのべ2400人余りが受診したという。
「画像検査では発見しにくい1センチ以下のがんも分かります。実際に結果をもとに内視鏡検査を行ったところ、0・5センチのすい臓がんが見つかった人もいます」(同)
とりわけ自覚症状に乏しいすい臓がんは、判明した段階でステージ4であることが多い。その場合、5年生存率は数%と、まさしく“がんの王様”だ。また6月に亡くなった小林麻央さんは、超音波検査とマンモグラフィーを併用したものの「授乳中のしこり」と診断され、乳がんと分かったのはその8カ月後であった。田原教授が続ける。
「小林さんのケースも然り、医師が良性腫瘍だと判断しても実はがんという事例も往々にしてありますが、ミアテストはイレギュラーながんの発見にも有効。がんの『可能性』を見落とさずに検討ができるのです」
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