笑福亭鶴瓶の知られざる顔(3) 反骨のチンチ○
露出の原点
笑福亭鶴瓶といえば、ときどきテレビで体の「見せてはいけない部分」を見せてしまう人、という一面があることはよく知られている。しかし、この「露出」の歴史も、彼の反骨心を起源としているということは意外と知られていない。
笑福亭鶴瓶こそが最強の芸人だ、という仮説をもとに一冊丸ごと鶴瓶の魅力を論じた『笑福亭鶴瓶論』には、「露出の原点」とも言うべき事件が詳述されている。
それは1975年に放送された『独占!男の時間』(テレビ東京)での出来事だった。
番組の演出では、こういう流れになっていた。
「続いては温泉リポートです。どんな美女が登場するのでしょうか?」
アシスタントの紹介ののち、カメラは“美女”の足元をとらえ、そのままカメラアングルがゆっくり上がっていくと、実は男でした、というのがオチ。そのオチ要員に起用されたのが、まだデビューしたばかり、23歳の鶴瓶である。
その後の展開を『笑福亭鶴瓶論』から抜粋、引用してみよう。
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山城新伍の囁き
鶴瓶は憤っていた。
本番前、スタッフから不遜な言葉を浴びせられていたのだ。一人の人間として扱われていないような言動だったという。
コイツに目にもの見せてやる――。そんな反骨心が沸々と沸き起こっていた。
「せっかく呼んでくれた(山城)新伍さんに悪い」とは思いつつ、我慢ができずに秘策を練った。
カメラが腰元を捉えた時、事件は起こった。
鶴瓶はバスタオルを外すと、そのままカメラに接近。
股間をレンズに押し付けたのだ。
生放送中のスタジオは悲鳴と怒号に包まれた。
事件はこれだけで終わらない。
司会の山城新伍の計らいで番組最終回にも鶴瓶は再登場。山城は、リハーサル前に鶴瓶に近寄るとこう囁いた。
「鶴瓶、今日でこの番組も終わりやしな。なにをやってもかめへんで。お前の好きなようにやり」
山城新伍に迷惑がかからないのなら、やらない理由はなかった。
再び鶴瓶はカメラに写してはいけない部分を露出するのだ。今度はお尻を突き出し、それをグーッと開き肛門をどアップにしてしまった。
以降、約30年にわたり、テレビ東京に出入り禁止処分がくだされた。
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その後、2003年にも「露出」事件は起きるが、こちらは反骨心からではなく単なる悪ふざけの産物である。
ちなみに、膨大な資料をもとに書かれた『笑福亭鶴瓶論』の中で、著者の戸部田誠(てれびのスキマ)氏は、こんな鶴瓶の「奇妙にも思えるポリシー」を紹介している。
「鼻毛は人に絶対見せん。チンチン見せても鼻毛は見せない。俺の、まあ言うたらポリシー」