何をしている?「相談役」「顧問」 “役割開示”義務化で揺らぐ椅子
老人たちが、大企業の社内を徘徊している。肩書は、相談役や顧問。気の向いた時に社用車で通勤し、広い個室を持ち、美人の秘書をはべらせているが、一体、何をしているのやら。そんな彼らに、安倍政権が“引退勧告”を突き付けているのだという。
東京証券取引所は8月2日、“コーポレート・ガバナンス(企業統治)に関する報告書”の改訂を発表した。経済部デスクによれば、
「東証が発表したのは、“相談役や顧問の氏名や業務内容、報酬総額などを開示せよ”というもの。相談役や顧問は、取締役と違って会社法に規定がないので、その役割を開示する義務も、罰則もなかった。ですが、なかには“院政”を敷き、経営に深く関与している相談役や顧問も少なくありません」
相談役や顧問の報酬額は年間ウン千万円ともいわれているが、
「相談役や顧問に支払う報酬は人件費に計上するのが妥当ですが、販売促進費として会計処理されていることが多く、外部からは調べようがありません。そもそも相談役、顧問は日本独自の制度。かねて外国人投資家や、アクティビストと呼ばれる“物言う株主”から“不透明だ”と批判されていました」(同)
だが、これまで相談役と顧問の“役割開示”の実施に取り組んできた上場企業は、一握りだった。
「彼らがよほど怖いのか、自分が次にその“椅子”に座るのが確実なので死守したいのか。うちの調査に積極的に協力する企業は、驚くほど少なかったですね」
こう苦笑するのは、経産省の中堅官僚だ。
「今年3月、上場企業の約2500社を対象に相談役と顧問の実態調査をまとめましたが、回答したのはわずか874社。任意とはいえ、およそ3分の1に過ぎず、十分な実態を把握できませんでした」
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