加納典明が振り返る逮捕劇 卑猥とアートの線引きをした検察

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人生最大のミス

 だから、謝罪することは逮捕前から決めていたことだった。勾留は、警視庁3階の雑居房に11泊12日。ヤクザの組長や80億円の詐欺師、ファンだと名乗る殺人容疑者らと過ごし、「勉強の日々だと考え、勾留期間を興味津々に楽しんだ」という。最後には傷害容疑で逮捕された俳優の木村一八にも遭遇、彼に取調べのこなし方を教えたそうだ。

 伊藤検事と交した猥褻かアートかの議論は、物別れに終わった。典明は今も、捜査当局の定規だけでこれを決めるのはおかしいと言う。猥褻性は時代と共に変わるもので、そもそも文字化できないものを表現するのが芸術。その線引きを司直のみで規定するのは難しいと考えるからだ。だが自身の判断には悔いが残るという。

「あの判断は、俺の人生の中で自身に犯した最大のミスだったね。筋を通さなかった。俺は変遷したんだ。1人でやれば良かった。大きな喧嘩ほど、徒党を組まずに1人でやるべきなんだってことを学んだよ」

 その後、社長や長友氏とは疎遠になり、「社会と俺に距離が出て来たなと感じた」。

 変遷のキッカケとなった2人に話を聞いてみたところ、「俺は勾留満期までかかったんだよ? 俺が泣きついたなら、加納と同じくらいに出られているでしょ」(高橋氏)、「自分が泣きを入れる理由がない。加納さんは振り上げた拳の行き場がなくなったんでしょう」(長友氏)と真っ向から否定。これを受け、典明は「俺は細かく話そうと思えば全部話せますよ。高橋社長は起訴され執行猶予付きの判決が出ている。俺と罪の重さが違う。そもそも警告を受けたのに重版をした社長が警察にとっての本丸でしたからね」。

 古稀を超えた典明は今年6月には狩野英孝の二股騒動で脚光を浴びたタレント、加藤紗里を撮影した過激な写真集を発表。今なお精力的に活動を続けている。

「今年の夏も北海道の野外で撮影するつもり。もちろん恥丘の中に入るつもりはないよ。だからって、自己規制するつもりもない。今はさ、見てろ!って感じ」

“強気”の典明のアート追求は、まだ終わらない。

週刊新潮 2016年8月23日号別冊「輝ける20世紀」探訪掲載

ワイド特集「芸能史に刻まれた『衝撃ニュース』の主役」より

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