上場「メルカリ」創業者のサクセスストーリー いたちごっこの問題出品

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諸国歴訪の旅

 山田氏の経歴は少し変わっている。愛知県出身で、現在39歳。早大教育学部4年の時に「楽天」の内定をもらい、インターンとしてオークション事業の立ち上げに参加したが、何を思ったのか辞退してフリーのプログラマーに転身する。

 山田氏を知る関係者が言う。

「その後はネット関連企業を立ち上げ、映画の案内サイトや画像共有サイトなどを開発するのですが、ビジネス的にはうまくいかなかった。名前を知られるようになったのは、09年、ソーシャルゲーム『まちつく!』がヒットしたことでした。そこで山田さんは、会社ごとアメリカの大手ゲーム会社に売却するのです」

 山田氏は売却先の大手ゲーム会社の日本法人代表に収まるが、1年3カ月で職を放り出し、諸国歴訪の旅に出てしまう。

「旅をしながら、次の事業を考えていた山田氏は、8カ月後に日本に戻る。そこで、あたためていたメルカリをスタートさせるのです」(同)

 13年2月、メルカリは、友人からかき集めた200〜300点を出品することから始まったが、ベンチャーファンドの「ユナイテッド」から出資を得たことがスプリングボードになる。

 ユナイテッドの関係者によると、

「山田さんは、4枚ほどの紙にサラッと書いたメルカリの企画書を役員に見せたそうです。通常、ベンチャー企業への出資は、1000万〜2000万円ですが、企画書を見た役員はすぐさま3億円の出資を決める。“これなら上場までもって行ける”と踏んだからです」

 六本木のシェアオフィスに間借りしていたメルカリは、半年も経たないうちにスペースが一杯に。今ではIT企業の“聖地”六本木ヒルズに本社を移し、盛況なのはご存じのとおりである。

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