上場「メルカリ」創業者のサクセスストーリー いたちごっこの問題出品
時価総額1000億円超 「メルカリ」上場は是か非か(上)
ひょっとしたらフェイスブックやアマゾンにも伍する日本発の世界的IT企業という呼び声もある。急成長する「メルカリ」はIT業界でもっとも注目されている会社だ。年末にも株式公開が予定されているが、ここに来て上場企業に相応しからぬ実態が浮かび――。
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海外放浪から戻ってきた1人の男が、ある日、中古品を売り買いするインターネットサイトを思いつく。それが4年後には資産300億円近い長者に成り上がるのだから、これは現代のサクセスストーリーという他ない。
7月21日、東証に上場申請をしたことが明らかになった「メルカリ」を、テレビのCMなどでご存じの方も多いだろう。この会社が今、いかに投資家の注目を集めているのか、証券会社の営業マンが解説する。
「メルカリはネット上でフリーマーケットを主宰している会社ですが、2013年に設立されると一気に業績を伸ばし、昨年度の売上高は約122億円、営業利益で約33億円を叩き出しています。同業のライバルはいますが、利用者数、収益ともにメルカリがダントツです」
メルカリの特徴を端的に言えば、シンプルな取引と安全性・匿名性にある。手続きも簡単で、登録にあたって身分証などは必要ない。
「売りたいものがあるとスマホで撮影し、値段と商品説明など短いメッセージを添えて出品する。スムーズに行けば3分ぐらい。出品するだけならお金はかかりません」(メルカリの広報担当者)
取引が成立すると、メルカリがいったん代金を預かり、通知を受けた出品者が発送する。品物を受け取った購入者は中身が商品説明と違わないことを確認して「受取評価」を投稿。すると代金が支払われる仕組みだ。出品者は代金を引き出すことも出来るが、メルカリが預かって(1年間)購入の際に使うことも出来る。
「また、『メルカリ便』を利用すれば一定のサイズまで全国一律料金で、匿名で配送できる。これまでのネット取引は相手に名前や住所を知られるのが障壁になっていましたが、その不安がなくなったわけです」(同)
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