内閣人事局がぶっ壊した霞が関の秩序 「森友記録」破棄の官僚も出世
進次郎の振付師
一方で、重要な人材を摘んでしまったのが、農水省の次官人事である。
「農水省の次官というのは水産庁長官か林野庁長官から昇格するのが定石でした。でも去年、それが崩れて経営局長から奥原正明が就きました。彼と同期の前任者は、定年でもないのに任期僅か10カ月で辞職を余儀なくされたんです」(前出・デスク)
先の玉木代議士が続けて、
「今回の人事に関しては農水省が特におかしいと私は思っています。見る人が見ればわかりますが、(次官待機組の)水産庁長官、林野庁長官、そして消費・安全局長が全員退職に追い込まれているのです」
このサプライズを演出したのも、他ならぬ菅官房長官だという。
「『菅―奥原ライン』は攻めの農業という、定義のよくわからないことをとにかく推し進めていて、意味のない農協潰しなんかをやっている。今までも全員が守りの農業をやってきたわけではないのに、それこそ印象操作に近いのです」(同)
そもそも奥原次官とは、
「農水省にあって農協解体が悲願という変わり種で、稲田朋美が自民党の政調会長だった頃、2人でせっせと農林族を回っている姿がありました。彼のそうした行動を菅さんは高く評価していて、“奥原っていいでしょ?”と周辺によく言っていたほどです」(前出・デスク)
他方、農水族に重きをなすある代議士は、
「農業を成長産業にするという考え方は良いことですが、規制緩和をして一般企業を農業に参画させることで市場の論理に晒された農業がどうなるか考えていない。奥原と官房長官は一体で、そこに農林部会長の小泉進次郎もうまく取り込まれた恰好ですね。“農業改革が自分の使命”なんて進次郎は盛んに言っていますが、奥原に吹き込まれたんでしょう。演説で主張している内容が奥原の訴えと同じだったことが何度もありましたからね」
とし、こう続ける。
「例えば、進次郎は“農協の肥料は高く、韓国や中国の2〜3倍する。余剰分を農協が懐に入れているのではないか。このままでは日本の農業の国際競争力が落ちてしまう”といった考えをお持ちのようだが、そうではない。日本の土壌に合う肥料を長い時間をかけて開発してきたという事情を知らず、単に値段だけを見て中途半端な発言をしているんです」
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