社会問題化する「高齢ドライバー」事故、家族に責任も ベテランほど過信

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家族も責任を問われる

『健康起因事故の医学と法律』の著作がある、慶應大学医学部総合医科学研究センターの馬塲美年子(ばばみねこ)助教も、

「高齢者の運転は危険だと言われていても、みなさん、『自分は大丈夫』と思いがちです」

 として、こう後を受ける。

「私は昨年11月頃から、高齢ドライバーの運転事故に関する新聞記事を全てスクラップしていますが、その数は200件にものぼります。特に多いのが、ブレーキとアクセルの踏み間違いで、ドライバーの平均年齢は約75歳。男女に差はほとんどありませんでした。高齢ドライバーの問題で一番懸念されているのは加齢に伴う運転能力の低下で、とりわけ認知症ドライバーの問題が報じられることが多いですよね。しかし、実は健常な中高年の約1割が、運転能力に何らかの問題を抱えているとも指摘されているんです」

 文字通り、他人事ではなく忍び寄ってくる、一瞬にして殺人ドライバーに「変身」してしまう恐怖。しかも、それは自身や被害者だけではなく、家族にとっても不幸となって押し寄せてくる可能性があるのだ。

「例えば2012年11月に宮崎県えびの市で、小学2年生の男児3人が、76歳の男性が運転する軽トラックに衝突される事故が起きました。男性は刑事裁判で認知症と認定され、実刑判決を受けました。そしてその男性には民事裁判でも損害賠償請求がなされているんですが、彼だけではなく、彼の家族も損害賠償請求の対象になっています。事故前から、医師が家族に『運転を控えさせるように』と伝えていたにも拘(かかわ)らず、運転を止めなかったということで不法行為の責任が問われているんです」(同)

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