「東芝」vs.「監査法人」泥沼闘争を実況中継 調査費用20億円が水の泡…

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底なしの要求

「PwCあらたの前身は『中央青山監査法人』といい、カネボウの粉飾に関わって破綻。アメリカのPwCが全面支援する形で今の法人になった。企業会計の世界では、外資系とみなされています」(経済ジャーナリストの松崎隆司氏)

 決算期が近づくと、東芝本社の別室には、4人の公認会計士を含め、PwCあらたのスタッフが30人近くカンヅメになる。そこで膨大な帳簿を調べあげるのだが、想定外の事件が起きたのは昨年12月27日。アメリカの原発事業で巨額の損失が明らかになり、翌年の1月初旬には、内部告発も寄せられた。

 やはり東芝は信用できないと考えたのだろうか。PwCあらたは、交渉相手を主計部(経理部に相当する部署)から、「監査委員会」に変えるよう、東芝に要求する。監査委員会とは、監査役をサポートし、より中立な立場から経営をチェックする部署だ。

 関係者が言う。

「12月28日、監査委員会はPwCあらたと内部調査を行うことに合意し、調査活動をスタートさせます。内容は、WHの経営陣が巨額損失を以前から知っていたのではないかという点。さらに、内部告発を受けて、損失を隠蔽するよう部下に圧力をかけたことはなかったか、という追加の調査も始めました」

 日米の法律事務所のスタッフを雇って編成された調査チームは、さっそくリサーチに入る。まず、WHの経営陣のメール履歴を精査、さらに1人ずつ個別に面談を行った。

「調査では46万件のメール履歴を収集し、そのうち4万6000件を精査するという作業を行いました。メールに『やばい』とか『隠せ』といった言葉が含まれていないかを検索し、引っ掛かった文面をひとつひとつ読み込んでゆくという作業です」(同)

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