「五輪」商業主義のツケ 滑稽な開催地“無風”選考

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 五輪の価値もここまで落ちたか──。7月11日に行われたIOC臨時総会。そこでは、この9月の定期総会で決める予定の2024年大会の開催地だけでなく、同時に次の28年大会の開催地まで決めてしまうことが全会一致で承認された。

「つまりは、切羽詰まった。残った候補地がパリとロスの2カ所だけ。次の28年は候補地があるかどうかも危うい。現実主義者のバッハIOC会長は、本来のルールを無視して2都市を囲い込んだのです」

 IOCの窮状をそう分析するのは、スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏。

「世界的に少し経済が鈍化しただけでこのありさま。商業主義に走ってきた脆さが完全に露呈しましたよ」

 大会は毎回のように肥大化。数兆円と莫大になった開催費用は重圧だ。24年大会に立候補していたハンブルク、ローマ、ブダペストといった大都市でさえ、財政難などを理由に相次いで招致レースから離脱した。

「開催の順は、ひとまずパリ市とロス市の話し合いに任されますが、下馬評では、前回1924年大会から100年目の開催となるパリが先になりそうです」(スポーツ担当記者)

 では、さすがにパリ市民だけは喜んでいるかと思えば、じつはそれも怪しい。

「街の人もマスコミもクールですよ。本命とされながら08年大会と12年大会の招致に続けて失敗しているので、みんな熱がとっくに冷めているんです」

 と話すのは、在仏ジャーナリストの広岡裕児氏。

「市や政府は、選手村に予定している市北西部の再開発のこともあってPRに熱心。でも、計画以上の予算増大は、政治不信が強い今の世論が許さない。かなり問題が出てきそうです」

 だが、夏大会以上に落ち目の冬季大会に、札幌市は立候補の意向。この惨状が目に入らないのだろうか?

週刊新潮 2017年7月27日号掲載

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