致死率80%「大動脈解離」から逃れる5つの鉄則 急逝・阿藤快が訴えていた背中の痛み
加藤茶の異変
CT検査で重要なのは大動脈内に出来た血腫を見つけることだ。
「CT検査の他に『Dダイマー』の測定という方法もあります」
と言うのは、河村循環器病クリニックの河村剛史院長だ。
「人間の身体には血腫や血栓を溶かす働きがあります。血腫や血栓は溶けるとDダイマーという物質を生成し、その数値を測ると動脈の状態が分かるのです」
また、心臓外科医で昭和大学横浜市北部病院循環器センター教授の南淵明宏医師は、検査では、大動脈の拡大にも注意するべきだと指摘する。直径40ミリ以上に拡大しているなら、近い将来、大動脈解離を発症する可能性が極めて高い。
実際、南淵医師は、後に発症した加藤茶の異変をいち早く見つけていた。
「以前、芸能人の健康診断をしてみるというテレビ番組を監修したことがあるのです。そこで加藤茶さんの身体を診たのですが、大動脈の直径が拡大していることが分かった。要注意ぐらいのレベルですが、一度、検診に来て欲しいとお伝えしておいたのです。しかし、それから2年ほど後に加藤さんは大動脈解離を発症してしまった。後にお会いしたら“あの時、注意を受けていたのに……”と残念がっておられました」
もちろん、検査には費用がかかる。CT検査の場合、人間ドックなら3万円前後。だが、保険がきく場合、約9000円で済む。高血圧や動脈硬化が気になるのなら、高いとは言えまい。
最後に、やってはいけない「鉄則」をひとつ。胸や背中に激しい痛みを感じてもやたらに心臓マッサージするべきではない。
「大動脈解離を起こして血管の中が裂けているのに、上から圧迫したら、さらに裂け目を広げてしまいます」(秋津医院の秋津壽男院長)
胸が痛いとか背中の痛みが続くようなら、まずは検査。ちょっとした決心が、生死を左右することもあるのだから。
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