ベリベリと裂ける血管… 「大木凡人」「快楽亭ブラック」が証言、恐怖の大動脈解離
心タンポナーデ
やがて、偽腔に血を湛えた大動脈はパンパンに膨らんだ状態になる。そして、偽腔が冠動脈に達すると、心臓を圧迫して急性心筋梗塞を引き起こす。また、偽腔に血が溜まることによって脳に行く血流が弱くなり脳梗塞も起きる。致命的なのは、偽腔から(心臓を包む)心膜の中に血液が流れ込み、心臓を抑え込んでしまうケースだ。
「そうなると、心臓は鼓動できなくなってしまう。『心タンポナーデ』というのですが、すぐに手術しないと確実に死ぬ。中嶋しゅうさんは、心タンポナーデが一気に起きてしまったと思われます」(同)
解離を起こすと大動脈瘤も出来やすい。瘤が破裂すれば全身の血圧が急降下し、ほぼ即死だ。
心臓外科医で昭和大学横浜市北部病院循環器センター教授の南淵明宏医師が言う。
「大動脈解離が出来はじめたら時間との勝負で、遅いほど致死率が高くなる。24時間以内に約3割、1週間放っておいたら8割以上が死亡すると言われています」
幸いなことに、大動脈解離は早めに発見すれば治すことができる。激痛が走るもっと前に「死の影」を察知する手立てはないものだろうか。
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(下)へつづく
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