ベリベリと裂ける血管… 「大木凡人」「快楽亭ブラック」が証言、恐怖の大動脈解離

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ベニヤ板が割れるように…

 大木とブラック師匠の例でも分かるように、この病気の特徴は、耐えがたいほどの激痛と、高い確率で死に至ることだ。大動脈解離を発症すると、身体のなかでは何が起きるのだろうか。それを説明する前に大動脈の構造を知っておく必要がある。

 心臓から出ている大動脈は、太さ25〜35ミリ。心臓の上をぐるりと回って胸から腹、そして腰のあたりまで通る最大の血管だ。

 秋津医院の秋津壽男院長が言う。

「大動脈の壁は3枚重ねのベニヤ板のようになっています。『内膜』、『外膜』、そして両方の膜の接着剤の役割を持つ『中膜』です。ところが高血圧などで内膜に傷がつくと中膜の層に血液が流れ込む。すると古いベニヤ板が割れるように中膜がベリベリと裂けてしまう。これが大動脈解離です」

 裂けた場所は「偽腔」と呼ばれ、血液を溜めながらさらに広がってゆく。激痛が襲うのは、裂け目が広がるときだ。

 日本大学病院循環器病センターの折目由紀彦医師(日大医学部准教授)によると、

「大動脈のまわりには無数の神経が張り巡らされていますが、裂けることによって外膜がぐっと引き伸ばされると、神経が圧迫され、激痛が走るのです」

 大木が感じたバリバリッとした痛みはこれが原因だ。

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