天皇「生前退位」問題 平川祐弘東大名誉教授、マスコミが作った「祈るだけでよい」発言に反駁する
天皇陛下の退位に関する有識者会議において「天皇は祈るだけでよい」と発言したかのように扱われ、様々なメディアから指弾された平川祐弘東京大学名誉教授(※祐は示ヘンに右)。その言葉には天皇陛下が「強いご不満」を示されたともいうが、発言自体の事実がない。自身に向けられた言われなき中傷について、平川氏は「新潮45」8月号で厳しく弁駁している。
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5月21日、毎日新聞朝刊第一面に衝撃的な記事が掲載された。「陛下公務否定に衝撃」という大見出しに「有識者会議での『祈るだけでよい』」との小見出し、そしてこう続いていた。
「天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議で、昨年11月のヒアリングの際に保守系の専門家から『天皇は祈っているだけでよい』などの意見が出たことに、陛下が『ヒアリングで批判をされたことがショックだった』との強い不満を漏らされていたことが明らかになった」
陛下の言葉が事実だとしたら、異例の発言である。
記事を読み進むと、その「保守系の専門家」の名前が出てくる。それは平川祐弘東京大学名誉教授と渡部昇一上智大学名誉教授である。果たして両氏の発言はそのように簡単に要約できるものなのか。そして、天皇陛下は両者に対し、ほんとうにそう述べられたのか。
悪意ある記事
両氏は、「文藝春秋」7月号でもやり玉に挙げられている。有識者会議の座長代理を務めた御厨(みくりや)貴東大名誉教授の手になる原稿で、平川祐弘氏については、
「『余計なことをされるから陛下は疲れるのです』と祭祀や憲法に定められた公務をなさればいいとおっしゃる。我々が質問しようとすると、『私を論駁できますかな』と穏やかではありません。しまいには『そもそもこういった会議は必要ない』と我々が叱られてしまう始末でした」
と悪しざまに書かれ、一方、渡部昇一氏については、
「『何もせぬがよし』とくり返されたのが印象的でした。困ったものだなと思っていたら最後に『私はこの席に着いたとたん突発性難聴になりまして、皆さまのお話が全く耳に入りませんでした。失礼いたしました』と言って出て行った」
と、その場面を半ば揶揄した筆致で描かれている。
だがこうした事実はほんとうにあったのか。またその評価は妥当なものなのか。
渡部氏は今年4月に鬼籍に入られたから、もはや記事への感想を聞くことはできない。だが、もう一人の平川氏の反応が「新潮45」8月号の特集「日本を分断した天皇陛下の『お言葉』一年」特集に載っている。
「天皇の『祈り』とは何か 御厨座長代理の悪意ある記事に応える」
というのがそのタイトルである。以下は、その一部抜粋である。
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