「醤油は凍らない」「温泉を煮詰めると塩が残る」女子中学生の可愛くて愉快な大発見に大爆笑! 理科の先生が教えてくれる大人にも役立つ“自由研究”
「Mさんは『花は毎日ほめてやると長持ちする』と聞いたので、水をかえる時『きれいだね』とほめてやったら、ほめないものより5日から、7日も長持ちしました」
こんな、なんてことのない些細な発見が、人生を多少なりとも左右することがあるかもしれない――。
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冒頭で紹介した「花をほめる研究」は、ある女子中学生が自分で思いつき実験をした成果をレポートしたものだ。このレポートを紹介するのは、静岡雙葉高等学校・中学校で45年にわたって中学生に理科を教え続け、今年3月に退職した清邦彦さん(70)。
小学生の頃から夏休みになると“自由研究”という名の、全く自由を感じられない宿題を与えられた人々は、理科やら実験やら観察やら研究やらと聞くだけでサッと拒絶反応を起こすかもしれない。
実際、清さんが教えてきた生徒たちも、かつては、「ニワトリの卵を割ったりして、気持ち悪いから嫌い」「理科はめんどくさいから嫌い」と理科嫌いが多かったし、最近で言えば、嫌いになるほど小学校で理科の勉強をやらなくなったらしいという。
しかし清さんは思うのだ。「ほんとうは理科って面白いよ」と。それを伝えるために清さんが始めたのが、月に1度の宿題「ミニ自由研究」だった。
ゴキブリは制汗スプレーに強い
最初はどんな研究をすればよいのかと戸惑っていた生徒たちだったが、回を重ねるごとに、女子中学生らしい等身大の研究が増えてきたという。冒頭で紹介した研究もそのひとつ。清さんは彼女たちの研究を「大人が気づかないような着眼、発想、推論があって感心する」と褒める。そんな面白レポートをまとめた『女子中学生の小さな大発見』が最近SNSで話題だ。同書から、生徒たちの研究の一部をご紹介しよう(以下「 」内同書より抜粋、引用)。
「Mさんは寒いとき、鳥肌がどこにできるか観察しました。顔と足首にはできません」
「Kさんはいろんなものを凍らせてみました。砂糖水、オレンジジュース、牛乳は凍り、塩水はもうちょっと、醤油は全く凍りませんでした」
「Yさんの実験によると、ゴキブリは制汗スプレーには強いけど、ガラスマイペットには弱いそうです」
「Sさんがミカンを電子レンジであたためてみたら1分後に破裂してしまいました。汚れたのでお母さんに見つからないようにふきました」
「Mさんは温泉のお湯2リットルを煮詰めて温泉に溶けている物質を取り出しました。ほとんど塩だったみたいです」
「Eさんはシラスの数を数えました。10gだけでも193匹いました」
「Sさんは重さ・大きさの違うボールを2階から落としてみましたが、どれも落ちる速さは同じでした」
彼女たちの研究の中には、「間違っているものもあるし、何のためにやっているのかわからないものも含まれている」と清さんは前置きしつつ、それでも「今ごろの中学生とか女子中高生というといろいろあるけど、なかなか捨てたもんじゃない、いいものを持っているじゃあないか、と感じてくだされば、と思う。本書はそういった中学生たちへの応援歌のつもりである」と語る。
「自分はそう考えた」というのは正しい事実
20年近く前に刊行された同書が話題となったきかっけは、6月下旬に投稿された「久々に読み返したら前書きに号泣。こんな先生に出会いたかったです」というツイート。
「予想どおりにならなかったのは、失敗ではなく成功です。何も変わらなかったのは、『変わらない』ことを発見したのです。
本と同じ結果にならなくても、それは気づかないところで条件が違っていたからであって、自分のやったことも正しい結果です。たまに本が間違っていることだってあります。
考え方がおかしいと言われても、『自分はそう考えた』というのは正しい事実です」(『女子中学生の小さな大発見』まえがきより)
これに共感した読者から「この本大好きです!自由な発想とそれを支える先生がステキで」「めちゃくちゃ面白かった!」「とても素敵な言葉。欲しくなりました。学ぶってこうゆうことなんですよね。やらずには何もわからない。大人でも心がけ一つでもっともっと豊かになれる」との声が寄せられたのだ。
大人になるとどうしても経験や思い込み、常識などで物事を判断しがちだが、中学生の頃を思い出し、些細なことにも「なぜだろう」と疑問を持ってみると、今よりもちょっとだけ楽しい生活が待っているかも。