「糖尿病」「がん」に効能 万能ホルモン「マイオカイン」分泌トレーニング

ドクター新潮 健康 運動

  • ブックマーク

 筋肉を増やすための食事と、出来ればセットで取り組みたい運動。人間の体は下半身の方が筋肉量が多いため、特に下半身を鍛えるのが効果的だという。専門家たちが勧める「簡単筋トレ」の方法とは。

 ***

 健康のための運動と言えばウォーキングが一般的だが、こと「筋肉」に限って言うとそれだけでは十分ではない。そこで、大妻女子大学家政学部の高波嘉一教授が推奨するのは、「インターバル速歩」だ。

「少し息が上がるくらいのきつめのウォーキングと息を整えるようなウォーキングを交互にやるというものです。ウォーキングでは通常、筋肉は増えませんが、インターバル速歩では筋肉が増えるのです」

 と、高波教授。

「具体的には、3分ほどの間隔で早歩きと通常の歩きを繰り返す。3分の早歩きがつらければ2分でも構いません。大股で歩くことや地面を蹴る意識を持つことに注意して行って下さい」

 外に出てインターバル速歩をするのが億劫な人には、屋内で出来る筋トレがいい。「そしがや大蔵クリニック」の中山久徳院長が推奨するのは、「足ブラブラストレッチ」。やり方はいたって簡単で、

「机や椅子につかまり、膝を曲げないようにまず片足を前後にゆっくり振ります。次に膝とつま先が同じ方向を向くように、片足を左右にゆっくりと振る。姿勢を保ったまま、それを片足につき10回程度行うだけです」(中山院長)

■「青い山脈」に合わせて

 久留米大学消化器内科講師の川口巧氏が勧める「つかまりスクワット」も実に簡単。まず、机や椅子などをつかみ、両足を肩幅ほどに開いて真っ直ぐに立つ。後ろに転倒防止の椅子を置き、その椅子に腰かけるようにして膝を曲げ、元の姿勢に戻る。呼吸をしながらその動作を10回行うだけである。これに10分ほどのウォーキングをプラスするとなお良い。

 筑波大学体育系の征矢(そや)英昭教授が考案したのは、「フリフリグッパー体操」。

「肩幅に足を開いて真っ直ぐ立つ時、スキーの姿勢を思い出して下さい。足は八の字になっているはずです。で、頭の位置を動かさないようにして腰を左右に振り子のように動かします」

 と、征矢教授が話す。

「次にグッパー運動です。腕を広げて息をハーッと吐きながらグーを作り、胸の前でパンと手を叩きます。ボーイズ・タウン・ギャングの『君の瞳に恋してる』や藤山一郎の『青い山脈』などの音楽に乗ってフリフリの動作とグッパーの運動を合わせてやると楽しく手軽に運動できます」

 ちなみに、装着するだけで筋肉の活動レベルを高める、などと謳う器具は、

「効果は期待できません。あれくらいの震動では毛細血管への刺激が足りず、乳酸が生成される状態に到達しないと思われるので、あれで筋肉がつくとは考えにくい」(野口医院院長の野口眞利医師)

 筋肉は一日にして成らず。マイオカイン(筋肉が分泌するホルモンの総称)は怠惰な人間には微笑まないのだ。

特集「『医学者』『科学者』が瞠目!『大腸がん』『糖尿病』『動脈硬化』『アルツハイマー』『うつ病』を防ぐ!! 夢の万能ホルモン『マイオカイン』」より

週刊新潮 2017年7月6日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。