サニブラウン、雨天でなければ9秒台確実 雌伏1年

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■オランダに拠点

 蓋を開ければ、ロンドン世界選手権への出場がかかった大舞台で、実力を発揮することができたわけだが、なぜ、急成長したのか。

 あるスポーツジャーナリストによれば、

「高校を卒業したサニブラウンは、今秋から米国の名門、フロリダ大学へ進学することが決まっています。でも、入学するまでは大学のコーチから指導を受けられない。そのため、この1月に拠点をオランダに移し、フロリダ大学の関係者から紹介された米国人コーチのもと、オランダ代表の選手らと練習を積んできました」

 その地で世界トップレベルの指導を受け、問題点の改善を図ったという。

「以前のサニブラウンは上半身が横にぶれ、レース後半でペースダウンしていました。そこで体幹を鍛え、身体のバランスを保てるようにしたのです。加えて、地面を蹴った足が後方に流れて推進力を活かしきれなかったのですが、足の運び方に気を配り、粗削りなフォームを修正しました」(同)

 実際、雨天でなければ9秒台は確実だったと見られている。

 元日本陸連科学委員会委員長で日本体育大学教授の阿江通良氏が解説する。

「雨が降れば身体は冷えますし、筋肉の動きも鈍くなります。そのうえ、濡れたトラックは滑りやすいから記録が落ちる。また、当日は追い風0・6メートルというコンディションでした。統計的に追い風が1メートル増すと、0・0671秒速くなる。2メートルを超えると参考記録になってしまいますが、追い風があと1メートル強く吹き、カラッと晴れていたら優に10秒の壁は突破できたはずです」

 トラック上で見せるサニブラウンの“顔”は、これからますます変化していくに違いない。

ワイド特集「正邪の『昼顔』」より

週刊新潮 2017年7月6日号掲載

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