サニブラウン、雨天でなければ9秒台確実 雌伏1年
左太ももの負傷でリオ五輪を断念してから、雌伏1年。陸上日本選手権の男子100メートルで、ダークホース扱いだったサニブラウン・ハキーム(18)が4強を抑え、頂点に立った。しかも、大粒の雨でなければ9秒台確実の絶好調な走り。急成長を遂げた裏に、どのようなトレーニングがあったのか。
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200メートルでも優勝
6月24日、ヤンマースタジアム長居(大阪市)は、レース20分前の午後8時20分ごろから雨脚が強くなった。桐生祥秀(21)、山縣亮太(25)、ケンブリッジ飛鳥(24)、彗星の如く現れた多田修平(21)ら4強とともに、サニブラウンはスタートラインに着く。
「号砲が鳴り響いた瞬間、多田が好スタートを切った。でも、サニブラウンが追い上げ、中盤でかわすと、他の選手を置き去りにし、一気にフィニッシュラインを駆け抜けました」
とは、陸上担当記者。
「記録は雨天でのレースにもかかわらず、自己ベストの10秒05を叩き出した。下馬評では、桐生は勝負弱いところがあり、山縣は足首、ケンブリッジは太ももに故障を抱えていて優勝は無理だと言われていた。本命は、多田でした。つい最近まで無名の選手でしたが、6月10日に追い風参考記録ながら日本人として国内初の9秒台となる9秒94をマークし、4強の1人に数えられるようになったのです」
そのため、リオ五輪断念後も記録の振るわないレースが続いたサニブラウンが覇者になるとは、まったくの想定外だったという。
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