我、「藤井聡太」にかく敗北せり――14歳の天才に敗れた14人の棋士インタビュー

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■14歳の天才「藤井聡太」に敗れた14人の棋士インタビュー(上)

 普段は一介の中学3年生。それがプロ入り半年余りも勝ちっ放しで、ついに棋界の歴代最多連勝記録を塗り替えてしまった。7月の対局に敗れ記録はストップしたものの、なぜプロ棋士が束になっても勝てなかったのか。中学生にひねられた彼らの心のうちは。藤井聡太四段に挑み、敗れた14人の、我、「天才」にかく敗北せり。

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 この6月26日朝も、藤井四段の前には、カメラが長蛇の列をなした。

 東京・千駄ヶ谷の将棋会館で行われた増田康宏四段(19)との対局。10時に始まった勝負は、藤井四段が中盤までの劣勢をはね返し、夜までもつれる。

「負けました」

 21時24分、増田四段が頭を下げた。瞬間、カメラが対局室になだれ込み、一斉にフラッシュがたかれた。これで藤井四段は、公式戦29連勝。歴代単独最多記録を達成したのである。

 もちろん、藤井四段は、史上最年少の14歳2カ月でプロになった棋士。強いのはわかっていた。しかし、将来はともかく、いきなりの新記録達成で、しかもデビュー以来、無敗のまま――このマンガのような展開が現実に起こるとは、一体、誰が予想したことであろう。

 藤井四段とは何者なのか。

 これまで、メディアで数多の分析記事が出たが、ある意味、それを最もよく知るのは、実際に彼と対峙し、その息遣いまで感じた対戦相手の他あるまい。

 29連勝のうち、複数回対戦した相手もいるため、これまでの対局相手は24名。そのうち14人に「14歳の天才」の横顔を聞いてみた。

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