「出光興産」創業家vs.経営陣の泥沼化 昭和シェルとの合併めぐり

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妥協案も…

 先述の、15年末に創業家側から経営陣に送り付けられた文書には、「創業家からの役員選任」という項目が入っているが、これは正道氏のことを指していると見られる。だが、いくら創業者の孫とはいえ、一社員を売上高3兆円規模の、しかも上場企業の社長に抜擢するのは無理がある。創業家以外の株主も納得しないだろう。当然、経営陣は難色を示した。

 先の出光関係者が言う。

「そこで検討されたのが、妥協案でした。大株主から役員を選任するというケースは他の企業でも実例がある。そこで、正道氏を新会社の常務取締役にするという案が浜田弁護士に持ち掛けられた。今年に入ってからのことです。浜田さんとしても、そろそろ着地点を見つけるべきだと考えていたのでしょう。持ち帰って創業家に提案をすることになっていたのです」

 が、2月になって浜田氏は突如、創業家の代理人を辞任してしまう。

「あくまで正道氏の社長就任にこだわる千惠子さんと衝突したのが、代理人を辞めた原因と言われています。千惠子さんは出光の株主ではないし、この騒動では表に出て来ませんが、出光の社内では昔から“イメルダ夫人”と呼ばれるほど恐れられていました」(千惠子夫人を知る人物)

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(下)へつづく

特集「創業家vs.経営陣の紛争は泥沼化! 条件は『次男が社長』の驚天動地!! 『出光興産』統合を阻む黒幕は『イメルダ夫人』」

週刊新潮 2017年6月29日号掲載

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