トヨタの喉元に「EV」販売拠点 テスラの挑戦状

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■時価総額では米国トップ

 日本では知名度も低いテスラだが、米国では“もっとも成長が期待される企業”として評価されている。米国事情に詳しい国際ジャーナリストの山田敏弘氏によれば、

「投資家も、テスラの成長性には大いに期待しています。4月10日のニューヨーク株式市場で株価が急騰し、時価総額は約5兆7000億円まで膨らんだ。結果、“ビッグ3”のゼネラル・モーターズを抜いて全米首位の自動車メーカーに躍り出たのです」

 投資家も馬鹿ではなく、赤字企業に投資するにはそれなりに根拠があってのこと。専門誌記者の解説では、

「既存の大手メーカーは、EV用の電池作りから始める。極端な話、テスラ車はパソコンに内蔵されているような電池を沢山載せているだけ。走行距離は1回の充電で大手メーカーが200キロ~300キロなのに、テスラ車は約500キロ。横浜から大阪まで充電なしで走れる計算です。ただし、電池を沢山載せている分だけコストが嵩みます」

 3月、米国消費者団体専門誌「コンシューマー・レポート」が2017年版の自動車ブランドランキングを発表。エコカーブームの追い風もあり、トップ10に入った米国車の最上位は8位のテスラだった。大衆に支持されていることはわかったが、こんな課題があるという。

「従来のテスラ車は、最低900万円と高価格。最新のモデル3は走行距離が短い代わりに400万円と半額以下ですが、さらに価格を抑えなければ大衆は手を出し難い。価格を下げるには一刻も早く、新工場を作って生産ラインを増加する必要があります」(同)

 テスラが新工場を建設したら、巨象もウカウカしていられないのではないか。

週刊新潮 2017年6月22日号掲載

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