複雑「カタール断交」のなぜ ロシア仕掛け説も

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“アメリカの現政権も長くない”とも言ったとか……

 いきなり? 理由は?

 6月5日、サウジアラビアなど4カ国が、カタールと国交を断絶した──。

「断交の約2週間前、カタールのタミム首長が“イランに敵対姿勢を取るのは賢明ではない”と発言したのが原因とされますが……」(全国紙外信部デスク)

 カタールを含め、アラブの国々はイスラム教スンニ派が国教。ペルシャ人のシーア派国家である仇敵イランに、露ほども理解など示してはいけないらしい。

「しかし、カタール政府は当初から、“首長はそんな発言はしていない。国営通信のサイトがハッキングされて流された嘘ニュースだ”と否定しています」(同)

 米英の捜査機関の協力でロシアのハッカーのしわざと判明したというが、真偽は曖昧。

「中東は本当に分からない」

 と嘆くのは、長年にわたって中東を研究してきた放送大学の高橋和夫教授。

「欧米のようには事実が確認されませんからね。ただ、ハッキングの真偽は別にして、まだ37歳と若いタミム首長ならまさに言いそうだ、という状況はすでにあった。そして、“お前、本当は言ったんだろ”とサウジは思っているわけです」

 他にも、ムスリム同胞団への支援、首長家がオーナーの衛星放送アルジャジーラの報道など、カタールへの不満は多々あった。が、秋田県ほどの面積の小国は、イランにも気を使わざるを得ない。

「むしろ今回の件では、サウジ外交の強引さの方が気になりますね。サウジでは2年前に王様が代わって、いま実質的に政権を動かすのは現国王の息子ムハンマド副皇太子。この人が少し乱暴なのです。底流にはカタールに対する嫉妬もあるのでしょう」(同)

 世界有数の天然ガス埋蔵量、首都ドーハは金融センターとして発展。2022年にはFIFA、W杯も開催予定。なるほど、これでは兄弟国にも嫉妬されるか……。

週刊新潮 2017年6月22日号掲載

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