田中将大、“炎上”逸失利益は47億円 年俸増のチャンスがフイに

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田中将大

 雪の夕べに森のそばに立つ――アメリカのスポーツサイト「FANSIDED」は、田中将大(28)を使い続けるヤンキースの葛藤を、ロバート・フロストの詩の引用で表現した。

 美しい光景に見惚れるより、進むべき道を進む。今こそ決断の時――そのようなことを言わんとしているようだが、マウンド上の田中の比喩としては賛同しかねる。それは、静謐な雪夜とは正反対の、むしろ“大炎上”の様相を呈しているのだから。

 17日、アスレチックス戦に先発した田中は、4回5失点と乱れ、6連敗を喫した。大手紙デスクが語る。

「マー君は、楽天入団以来、良い年と悪い年が交互に訪れ、今年は悪い年。ただし、悪い年でも負け越しはなかったのですが……」

 今季は5勝7敗と黒星が先行。〈今季は田中にとって悪夢のようなシーズンだ〉(NJドットコム)と評される所以である。

 だが、他ならぬ今季こそ、“夢のようなシーズン”であるべきだった。なぜなら、

「田中は今オフ、契約時に設定された“オプトアウト”を行使できるのです」

 とメジャーリーグ研究家の友成那智氏が解説する。

 この権利を行使すると、いわばFA状態となり、ヤンキース又は他球団とより高額の契約を交わすことが可能となる。

「今のメジャーは先発投手の年俸相場が高騰中。もし田中が昨季と同程度の成績を収めて権利行使したら、現状の年俸2200万ドルから500万ドルほど上乗せした2700万ドル程度、契約年数も少なくとも1年追加されて契約を結ぶことができるでしょう。でも、今の成績では、権利行使してもむしろマイナス必至。またとない年俸アップのチャンスを棒に振ってしまい、もったいない限りです」(同)

 勝手ながらその“逸失利益”を計算すると、実に4200万ドル(約47億円)に及ぶ。

 1試合投げるたびに数億円がパー――何とも豪勢な“雪の夕べ”である。

週刊新潮 2017年6月29日号掲載

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