国際短編映画祭 タルコフスキー「殺し屋」もお目見え
短くても中味は濃い?
世界で最初の有料映画は、1896年に公開された「ラ・シオタ駅への列車の到着」なのだという。
上映時間、わずか1分。つまり、映画は「短編作品」とともに産声をあげたことになる。
30分以内の短編映画(ショートフィルム)だけを、世界中から集め、選りすぐりの作品を上映する。それが、「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2017」の趣旨で、1999年に創立された。
今年は、東京と横浜の6会場で新作や古典的名作を含め、250本が一挙に紹介されている(6月25日まで)。
コンペティションも開催され、新進気鋭の若手から、すでに長尺もので一家をなすベテランまで、多彩な監督が出品した。
映画に造詣の深い経済学者、佐伯啓思さんが言う。
「古典的名作では、『惑星ソラリス』で知られるアンドレイ・タルコフスキーの初監督作品『The Killers/殺し屋』を見てみたいですね(ソビエト連邦、1956年)。全ロシア国立映画大学3年、23歳で共同製作した20分のモノクロ作品。原作はヘミングウェイの同名小説ですが、タルコフスキーがカメオ出演するというから、ファンには垂涎の的でしょう。新作では、“難民問題”をテーマにした『ボン・ヴォヤージュ』に注目しています。スイス人の男女が航海中に地中海で救助した、リビアからの難民との葛藤を描くといいます」
「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督は、今回「カタツムリの旅」を出品し、こう語っている。
「この条件なら、至福を感じるのにそれほど時間はかかりません。スポンサーやマーケティング担当を納得させる必要もない」
まさに反ハリウッド的価値観、目からウロコの世界が現出する?