福岡「金塊奪取」事件 主犯は20年前の高級車窃盗男
一筋縄ではいかない厄介な事件である。
昨年7月、博多駅前で7億6000万円相当の金塊が盗まれた事件で、福岡、愛知両県警は5月23日までに20代から70代までの男計7人を逮捕した。福岡県警担当記者の話。
「事件は貴金属会社役員らが金塊を売却しようとしたところ、ニセ警官が突如現れ、そのまま持ち去ってしまったというもの。その後、4億円強が都内の貴金属店に売却されています」
主犯格と見られるのは、名古屋市の会社役員・野口和樹容疑者(42)。この男、愛知県警内では知られた存在だった。県警関係者が言う。
「20年ほど前から高級自動車などを狙った窃盗グループのリーダー格として、何度も逮捕されている常習犯。語り継がれているのは1998年の事件です。愛知の守山署で野口が取り調べを受けていた折、突然妻が乱入。警官に催涙スプレーをかけて、車で逃走したのです。5日後、大阪で逮捕され、県警内で大問題になりました」
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その後も2005年に2億円相当のパソコン等を盗んだとして逮捕されている。
「今回、盗んだメンバーは全員年下で、誘いやすい人員で組まれたチームだった。刑務所に入るたびに仲間を増やしていたよう」(同)
7人の内、5人が窃盗、2人が盗品売却を斡旋(あっせん)した容疑だった。野口の兄も事件に関わっていたという。
「なぜ野口は金塊が貴金属店に運ばれることを知っていたのか。“情報源”がいたと目されています。盗まれた金塊の一部がその人物に渡っている可能性も」(先の記者)
事件は氷山の一角だと、貴金属業界の関係者が語る。
「昨今、金塊を狙った窃盗が増えています。金の延べ棒は一般にシリアルナンバーが打刻され、転売すると足がつきやすく、売却後の現金を狙うケースが多い。ただし、金塊を狙えば、同じ7億でも現金より容積が小さくなり、運搬しやすいというメリットがあります」
錆びつくことなく次の事件が起こりそうだ。