比嘉大吾、13連続KOで新王者に 具志堅の秘蔵っ子
いま、ボクシングの世界チャンピオンは日本に何人いるか。正解は「12人」だが、この新チャンプの名は憶えておいてもいいだろう。
比嘉大吾、21歳。
5月20日、WBC世界フライ級タイトルマッチで、メキシコの前王者エルナンデスに6回TKO勝ち。これでプロ戦績は驚異の13戦無敗13KO。全戦KO勝ちでの世界戴冠は日本人初の快挙である。
「日本中が注目した村田諒太の世界初挑戦。比嘉の一戦はその“前座”でしたが、フジテレビは1Rから生中継を敢行。“村田だけでなく、比嘉も見てほしい”という期待の表れです」
とボクシングライター。
「実は彼、“ボクシングの聖地”後楽園ホールでいま最も集客力があるボクサーなんです。人気の理由は、何と言っても100%のKO率ですが、“アンチエリートの叩き上げ”であることもファン心理をくすぐっています」
沖縄本島出身の比嘉は、中学まで野球少年で、ボクシングを始めたのは宮古工高入学後。アマ戦績は国体8強と比較的地味だったが、父親の伝手で出会った具志堅用高氏に見出された。
「タイに武者修行に出掛け、KOしてくるなど、ハートの強さも折り紙つき。1Rからガンガン攻める、日本では珍しいタイプです。具志堅、浜田剛史、平仲明信ら沖縄出身ボクサーらしい荒々しさを継承していて、オールドファンもわくわくさせる。実は、会場の有明コロシアムでは、村田より比嘉のファンの声援の方が目立っていました」(同)
師匠・具志堅氏が会長を務める「白井・具志堅ジム」は創設22年。比嘉は、同ジム初の世界王者になった。試合翌日、氏は記者たちに、
「大吾が王者にならなければジム閉鎖も考えていた」
と明かしている。
奇しくも師が世界王者になったのも21歳。伝説を作る時間はたっぷりある。