「慶応大学」選挙、2位が新塾長に疑問の声
さる4月20日、慶応義塾のトップ・清家篤塾長(63)の任期満了に伴い、常任理事で元文学部長の長谷山彰教授(64)が、次期塾長として選出された。だが、この選考過程に、納得がいかないといった声が未だに渦巻いているのである。
塾長選出は、まず、幼稚舎から高等部までの一貫教育校部門や大学10学部などから計24名の候補が選ばれ、さらに投票人450人による2度の投票で候補者が3人に絞り込まれる。今回、その投票結果で、長谷山氏は元経済学部長の細田衛士教授(64)の後塵を拝し、2位となったのだが、慶応関係者によれば、
「投票後に行われた、OBの財界人や学部長による塾長候補者銓衡委員会が選んだのは、なぜか長谷山さんでした。これまでは一票を重視して、1位が外されるというケースは一度もなかったのにです」
最終的に長谷山氏を選任する評議員会の席でも、銓衡委員会での選定を疑問視する発言が相次いだ。口火を切ったのは教員の1人。おおむね次のような内容だったという。
「投票の際、投票用紙が1枚足りない事態が起きたが、誰一人『1票ぐらいいいじゃないか』と言う人はいなかった。用紙が見つかって拍手が起きた時、一票の重みと、開塾の精神に掲げた『気品の泉源』を感じた。得票1位の候補が塾長にならないのは遺憾です」
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■辞任表明した人も
地方銀行の会長を務めるOBからも、声が上がる。
「大学の改革をするには、教職員の後押しがないと出来ない。これまでは1位が選ばれてきたが、今回はその方針を変えたのか」
さらに別の教員からは、
「私は国語が専門だから数学で何と言うかわからないが、450票のうちの230票獲得は、算数で過半数を得ていると言うのではないか」
まさに「陸の王者」が「屁理屈の王者」と言わんばかりの皮肉までもが飛び出していたのである。
従来なら塾長になったであろう細田氏が言う。
「清家さんの8年で何か革新的なことがあったかと言うと、何もなかった。長谷山さんはその清家体制を理事として担っていた人ですから、このままではまた同じ8年になると思い塾長選に出ました。ですが、結局はご都合主義。密室の銓衡委員会で、オープンな投票結果を覆したのです。この先も清家さんが自分の体制を継続させるためと見られてもしょうがないのでは」
先の関係者が引き取って、
「清家さんは財界にパイプがあります。引き続き利権を得るためにも“内閣”のメンバーだった長谷山さんにしたかったのだろうと言われています。昨年の集団レイプ事件に、文科省からの天下り問題と、慶応はすべてをうやむやにしてばかり。今回の件では、抗議の意味から辞任を表明した先生もいます」
選挙結果が覆った説明を求める署名活動が広がっているというから、批判の嵐は未だおさまらず、しばらくは目が離せそうにない。
ワイド特集「石が流れて木の葉が沈む」より