世界同時感染「身代金ウィルス」対処法は

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“重要なファイルは暗号化されています。(中略)誰も私たちの解読サービスなしであなたのファイルを回復することはできません”

 PCの電源を入れると警告文が表示され、実際にファイルは開けなくなり、機能不全に陥る。そして、“回復させたければ金銭を払え”と、身代金300ドルを要求する――。

 こんな厄介なウィルスが今、猛威を振るっている。

 社会部記者が言う。

「今月の12日から13日にかけて、欧州を中心に一気に被害が拡大しました。被害国は150カ国を超え、約20万件以上のPCが感染しています」

 週明けの15日には日本でも日立製作所をはじめ、企業、個人合わせて600カ所、2000もの端末の“罹患”が確認された。

「これは、ランサムウェア(身代金要求型)と呼ばれるウィルスで、それ自体は昔からあるのですが……」

 とは、ITジャーナリストの井上トシユキ氏。

「同じウィルスによる被害が拡大するには、数カ月はかかっていた。それが今回はわずか2日で、全世界に広まったわけです。おそらく初めてのケースではないでしょうか」

 と、驚きを隠せない。

 ネットセキュリティ会社社員が、“パンデミック”の原因を推察する。

「今回のウィルスは、端末間で広がるのではなく、大もとのサーバーに直接入り込む。そしてそのサーバーと繋がる端末に一斉に感染していったため、爆発的な速さになったのです」

 罹った場合の“身の処し方”を訊ねると、

「身代金を払っても回復する保証はないですし、回復したとしても、ハッカーに情報を与え、被害拡大に繋がりかねない。初期化するしかないですね」(同)

 特効薬は存在せず。ならば予防策はあるのか。

「お使いのソフトと、セキュリティソフトを常に最新版に更新すること。感染に備え、マメにバックアップを取ることも忘れずに」(同)

 第二波に気をつけろ。

週刊新潮 2017年5月25日号掲載

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