フジ日枝会長、代表権なしでも院政 終わりの始まり

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 視聴率3冠という過去の成功体験から抜け出せず、虚栄に取り憑かれたフジテレビ。以前から囁かれていた通り、6月の株主総会で亀山千広社長(60)の退任が決まった。これで人事刷新かと思えば、代わりに始まるのが“フジのドン”こと日枝久会長(79)の院政であると、専らの評判なんだそうな。

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亀山千広社長

 亀山社長退任が発表されたのは、5月11日のフジ・メディア・ホールディングスの決算発表会見でのこと。同時に、フジテレビの日枝会長も、代表権のない取締役相談役に退く人事が明らかになったのだ。

 4年前、亀山氏を社長に指名した責任をとった格好だが、視聴率低迷、業績不振は悪化の一途をたどる。

 奇しくも、今年は看板の月曜夜9時ドラマ、「月9」が放送開始から30周年の節目を迎えた。亀山氏といえば、木村拓哉主演「ロングバケーション」などのヒットメーカーとして知られただけに、社長として「月9」枠再生に並々ならぬ意欲を持っていたという。

「“30周年記念”と銘打った4月放送開始の『貴族探偵』では嵐の相葉雅紀、7月からは山下智久、そして、10月には木村拓哉と、ジャニーズ事務所から3人を立て続けに主演に起用して、起死回生を図る腹積もりだったのです」(芸能デスク)

 蓋を開けてみれば、第一矢の「貴族探偵」は、平均視聴率が前枠ドラマと変わらず1桁台だった……。

「月9で名を汚したくないのか、本命のキムタクには出演を蹴られたのです」

 と先のデスクは明かした上で、こうも言う。

「亀山社長は、社内にプロジェクトチームまで立ち上げ月9再生を目指しましたが、結果を残せなかった」

 そんな亀山社長に見切りをつけたのが日枝会長だったのである。

 フジ関係者が言うには、

「亀山氏の後任として会長が指名したBSフジの宮内正喜社長は、73歳と高齢ながらライブドア買収騒動で日枝氏の軍師として重用されてきた。日枝氏の傀儡に過ぎないのは明らかです」

 退任後の亀山氏は、フジ本体には残れず、BSフジの社長へと降格。当の日枝氏は代表権のない相談役に退いても、産経新聞など93社を傘下に束ねるフジサンケイグループ代表という立場に変わりはない。

「世間には引責の体をとりながら、実際はグループ全体の人事を掌握できる立場で権力の座にしがみつく。今回、相談役となったのは、株主総会で外部から経営責任を追及されるのを避けるためだと言われています。この6年間で、フジテレビの営業利益は250億から40億まで先細っている。6月の総会では、株主たちからの批判は必至です」(同)

 批判の声を直接浴びないよう院政を敷くが、代表権のない相談役という立場では、総会で解任動議が出されたり、傀儡と思っていた部下に寝首を掻かれることも。これがドンの終わりの始まりとなるか――。

ワイド特集「虚栄の市」より

週刊新潮 2017年5月25日号掲載

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