四つ巴「六代目山口組」「神戸山口組」「任侠団体山口組」「警察」それぞれの思惑

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■こっちとはケンカはしたくない

 一方、兵庫県尼崎市内にある古川組の事務所で行われたその会見で本部長の池田氏が吐露したのは、神戸山口組への不満だ。曰く、

〈神戸山口組の大義に感銘を受け、我々若手・中堅は、日本全国でその大義を信じて、汗を流させて頂きましたが、残念ながら大義とは名ばかりの一部の上層部の恨み辛み私利私欲であったという事実を目の当たりにしてしまいました〉

〈これでは山口組が自滅の道を辿ると真っ向から否定して立ち上がったにも関わらず、神戸山口組の現実はその名古屋方式にも劣るそれ以下の悪政でした〉

 つまり神戸山口組のやり口は六代目山口組の中核組織である弘道会以下で、それに幻滅した、と主張しているわけだ。この点、六代目山口組直系組長によると、

「神戸よりも本体のほうを若干あげとるでしょ。ということは、こっちとはケンカはしたくない、と。静かに親睦団体のまま存続し、時期が来て、本体から声がかかったら戻りたい、と思うとるんでしょう。それにしても信者みたいに信奉しとった井上(邦雄・神戸山口組組長)のことをあそこまで罵るとはね……」

 会見で池田氏は、昨年9月に起こった「サイン事件」にも言及した。新神戸駅において、新幹線から降りてきた六代目山口組の司忍組長に対し、神戸山口組のメンバーが「サイン下さい」と声をかけた騒動だ。

 これについて池田氏は、井上組長が山健組の中田広志・若頭代行に命じて起させたものだと断定した上で、

〈仮に、この度の分裂が十年間の恨み辛みを晴らす事が目的であるとするならば、このサイン騒動は正解でしょう。しかし、山口組を正す為、若い者の未来・将来の為に、立ち上がったと公言するならば、このサイン騒動は我々の業界では絶対にあってはならん事〉

〈我々若手・中堅含め神戸の大義を信じて、頑張ってきた大勢の者が目標を失い、目の前が真っ暗になり正に絶望した瞬間でした〉

 ……これまで固い絆で結ばれていたとは思えないほどの悪口雑言のオンパレードなのである。

 ***

(下)へつづく

特集「四つ巴『六代目山口組』『神戸山口組』『任侠団体山口組』『警察』それぞれの思惑」より

週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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