大人気「うんこ漢字ドリル」への警鐘 “子どもの未熟な感性に迎合”
■“嫌なもの”に向かう行為
元国立市教育長で教育評論家の石井昌浩氏も、こう警鐘を鳴らすのだ。
「『三つ子の魂百まで』です。このドリルで育ち、果たして自分の核となるものを持ち得るかどうか。品性のない大人に育ってしまわないか心配です。何でも『うんこ』を媒介にするのは、子どもの未熟な感性に迎合することに他なりません」
さらに、全く正反対の観点から憂慮するのは、評論家の唐沢俊一氏である。
「机に向かうのが楽しくなるという点では、教育界に一石を投じたと思います。ただ、子ども時代の勉強とは概して“嫌なもの”に向かう行為でもあるはず。大人になれば、たとえ嫌でもつまらなくても、仕事ならば取り組まねばならない。勉強には、その“予行演習”という側面があります。今から楽しい勉強を身につけてしまうと、『楽しくないから働かない』という大人が増えないだろうか。そんな一抹の不安を覚えます」
肥やしにも毒にも転じ得る異物とは、心して向き合わねばならない。
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特集「84万部突破! 子供も大人も魅入られた『うんこ漢字ドリル』の社会的考現学」より
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