84万部突破「うんこ漢字ドリル」の社会的考現学 なぜ子どもは魅かれる?
■子供からせがむケースも
爆発的ヒットに
「こうした教材が現れたのは喜ばしいと思います」
とは、東大医学部卒で受験事情に詳しい精神科医の和田秀樹氏である。
「漢字は従来、反復学習しかなかったため、多くの子がつまらないと感じていたはず。算数だと面白く学ぶための教材があるのに、漢字に関しては少なかった。すべての例文に『うんこ』が出てくるとはいえ、誤った意味では用いられていません。漢字は算数より実用性があるので、やっているうちに読み書きが上達すると、文章が書けるようになったり新聞が読めるようになる。すると子どもは、賢くなったと錯覚するのです」
教育評論家の尾木直樹氏も、こう話す。
「単純なトレーニング学習では、小学校低学年の男の子などは飽きてしまう。その反面、彼らはおしりとかうんこという言葉が大好き。男の子は生まれた時から性器が目立つし、触ったりすると親から真剣に怒られるため、早い段階で意識がそちらに向かいます。排便という行為も、子どもにとっては非常に不気味なのですが、終わった後は本能的な快感がある。一方で、母親は得てしてうんこを忌み嫌うので、子どもはますます興味関心を持つのです」
小学生向けの参考書は通常、親が買い与えるものだが、今回は子どもの方から親にせがむケースが多いという。実に巧みに児童心理を衝いているわけだ。
[2/4ページ]