「球界のレジェンド」山本昌がイチローに伝えた「50歳まで現役を続ける秘訣」
史上最年長の50歳まで現役を続けた「球界のレジェンド」山本昌氏には、現役をできるだけ長く続けたいと考える多くのアスリートがアドバイスを求めてくる。山本氏が著した『生涯現役論』(佐山展生氏との共著)には、そうしたアスリートの名前が何人も挙げられているが、その中にはイチロー選手もいる。
それに対する山本氏の答えは、「肩と肘はそんなに落ちない。でも足は年を取ると故障しがちになる。だから足には気をつけろ」というものだった。
野手の場合、年を取ってくると守備や走塁でダッシュをする際に故障する確率が上がる。だから念入りに準備を行い、ダッシュをする時には細心の注意を払わねばならない。
「イチローだって、怪我をしていないわけではない。それを表に出さないだけ。言い訳せずにコンディションを整え、目前の試合に集中して取り組んでいるところがイチローの凄さです」
2016年8月、メジャー通算3000本安打を達成したイチローは、取材に対し、山本氏から言われたことが励みになったと語ったそうだ。
「球界のレジェンド」を目標にする選手
山本氏が50歳まで現役を続けたことで、後に続く選手たちの中には「50歳まで現役を続ける」ことを具体的に考えるようになった選手もいる。その一人がヤクルトの石川雅規投手だ。
石川投手は年齢(学年)ごとの星取り表をロッカーに貼って、トータルで219勝した山本氏と自分の勝利数を競っているという。山本氏は5年目のシーズンに初勝利を挙げ、シーズン終了までに5勝した。石川投手は大卒1年目に12勝したから、この時点では5対12。その後は抜きつ抜かれつしながら2016年シーズン終了時点では、山本氏が一つ負けという結果だ。
しかし、石川投手の現在の年齢のシーズンに、山本氏は9勝を挙げている。石川投手は「ここで山本さんに後れをを取ると苦しい」と言っているという。
山本氏によると、野手より投手の方が現役を長く続けられる可能性が高いという。
「野手はどうしても目の衰えが突然来ますから。40歳近くなって、老眼に苦しむ人もいます。するとボールへの反応が一瞬遅れ、全然打てなくなる」
一方、ピッチャーは、少しぐらい目が衰えても、ストライクが入れば勝負になる。しかも、体力が衰えても技術は上げていくことができるのだ。
山本氏自身、「人生でいちばん良いフォームで投げていたのは50歳の時」と語っている。野球の技術が上がり続けている以上、いずれ山本氏の年齢を超えた現役選手が登場し、新たに「球界のレジェンド」の称号を頂く日もやってくるのかも知れない。