重婚ストーカー「中川俊直」に使途不明の政治資金 年間700万円が懐から消える
中川俊直代議士
重婚にストーカーと、ここ最近の不倫騒動のなかでも他を圧倒するえげつなさで、一躍その名を全国に轟かせた中川俊直前経産政務官(47)。だが、男の勲章はそれに止まらなかった。政治資金の収支の不記載から「使途不明金」まで、カネの問題も尽きないのだ。
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人倫を外れた破廉恥ワールドのスケールでは、父の秀直氏をはるかに凌駕した感があるが、ほかにも父親から引き継いでいるものがあった。
東広島市に耕道会館なる一般財団法人がある。地元の市議会関係者は、
「秀直氏の義父が不動産を寄付して設立された財団で、秀直さんの時代、自宅や後援会事務所が家賃を払って入居していて、財団法人が特定個人の支援に使われていると問題になった」
と回想するが、俊直氏が支部長だった自民党広島県第四選挙区支部と、中川俊直後援会がここに置かれていた。そして、両者の政治資金収支報告書を確認すると、毎月それぞれ20万円と5万円が、家賃として財団に支払われている。しかも、俊直氏の母親が住む建物も同じ敷地内にあった。
「財団法人が課税上優遇されるのは、公益目的で設立が許されたから。財団の不動産を代表者や親族が自宅として利用することは、財団の目的に反します」
と税理士の浦野広明氏。ちなみに、耕道会館の代表理事は昨年6月まで2年ほど、俊直氏だったが、政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は、
「政治家本人や親族が代表を務める財団が所有する物件に、政党支部や後援会の主たる事務所が置かれ、家賃が財団に支払われ、かつ財団が政治家本人や親族に役員報酬を支払っている場合、実質的に、政治資金が還流していると言えます」
そう語って、続ける。
「家賃が相場より高ければ高い分、政治家が不当に資金を得ていると言え、逆に相場より低ければ、政治家が財団から便宜を図ってもらっていると言える」
地元の不動産屋は、
「この辺りの土地は坪単価が40万~50万円。耕道会館の事務所は、相場では月50万から60万円ほどでは」
かなり安い家賃で借りている、ということか。
■記載のない収支
ところで、俊直後援会では、たびたび「旅行会」を催している。たとえば、15年11月16日には「りぶる旅行会」が行われ、選挙区支部の収支報告書に、513万円の収入が記載されている。だが、旅行会は行われたはずなのに、報告書に収支の記載が見つからない例も少なくないのだ。
14年11月17日付の俊直氏のブログに、〈本日は、中川俊直後援会日帰り旅行会@湯田温泉〉という記述がある。この旅行会は、同月6日付の同じブログで〈衆議院議員 中川俊直 旅行会のご案内〉と、会費1万円で参加を募ったものだが、選挙区支部と中川俊直後援会、資金管理団体のいずれの収支報告書にも、収支の記載が見当たらない。
同じような例をさらに列挙するのも芸がないが、しかし、俊直氏に芸がないのだから致し方ない。
13年11月25日、俊直氏はフェイスブックに〈後援会女性局旅行会〉と銘打って〈自民党広島県第四選挙区支部りぶるの会の旅行会で、佐賀県嬉野温泉にやって来ました〉と書いているが、やはり収支は不記載だ。
広島カープの観戦会も同様である。俊直氏のブログには、14年4月6日付で〈中川俊直後援会主催のカープ戦観戦へ〉と題し、〈東広島市の若手経営者の56名と一緒に〉などと、観戦の模様が書かれているが、収支の記載は見つからない。
先の上脇教授によれば、
「政党支部や後援会がブログなどを通して広報し、旅費を集めた旅行会であれば、収支は政治活動費として、収支報告書に記載する必要があります。記載がなければ、政治資金規正法第25条2項が規定する『不記載』に当たるおそれがあると言わざるをえません」
■「虚偽記載」の可能性
こんな例もある。15年5月24日、俊直氏は〈180名の中川俊直後援会若手メンバーと共に応援しながらも〉とブログに記し、支部の収支報告書にも、収入欄に112万5000円の記載がある。そして支出欄には、4月24日付で入場券代90万円、飲食代7万円が計上されているが、後援会の収支報告書を覗いてみると、収入欄にも支出欄にも、同じ日付でまったく同額が記載されているではないか。
「仮に一方が誤りであるならば、政治資金規正法第25条3項で規定される『虚偽記載』に当たる可能性があります」(同)
一事が万事とはこれで、ズボラな女性関係がそのまま資金管理にもおよんでいるとでも言うほかあるまい。
■私的流用しても…
また、俊直氏は資金管理団体の直心会に、年間140万円から200万円の会合費を計上しているが、あるベテラン秘書は、
「昨年、稲田朋美防衛相が資金管理団体に、年間276万円の会合費を計上していたことが問題になった」
大臣よりも格下の俊直氏も、むろん必要に迫られて会食したのだろうが……。
極めつきは、広島県第四支部から俊直氏に支払われた「政策活動費」だ。
たとえば、同支部の15年の収支報告書を見ると、年間22回にわたり、俊直氏宛てに「政策活動費」が支払われている。1月から5万円、10万3068円、20万円、5万5000円……という具合で、多いときは1回につき120万円、180万円におよび、その合計は759万2548円にもなる。ちなみに、13年は全9回の合計が351万5200円だった。
先のベテラン秘書は、
「支部から代議士本人への支出では、選挙の年に選挙費用や寄付の名目で収支報告書に記載することはある。選挙事務所や選挙カー、ポスターなどの費用や人件費で、選挙の収支報告書を別途、都道府県の選挙管理委員会に提出し、支部からの収入と選挙に関わる支出を報告するんです」
と話すが、俊直氏が出馬した総選挙があったのは、14年と12年である。
「選挙のない年に、政策活動費として代議士本人に多額の支払いがあった、なんて話は聞いたことがありません。私的に流用してもわからないのですから、説明責任があると思う」(同)
また、上脇教授は、
「政治資金規正法は第21条の2、第1項で、選挙運動についてを除き、公職の候補者の政治活動への寄付を禁じていますが、例外規定がある。第2項で、政党からの寄付には適用しないと定めているので、自民党の支部から中川氏個人への寄付は違法とは言えません」
と留保しつつも、続けてこう述べる。
「15年だけでも700万円以上が中川氏に渡っている。仮に中川氏がそれを自分のポケットに入れ、雑所得として申告していなかったとすると、脱税疑惑が持ち上がります。一方、政治活動に使っていたなら、事実上、裏金として使っていたことになってしまう。少なくとも中川氏には、この多額の費用を何に使ったのか、説明する義務があります」
■中川事務所の回答は
これらの疑惑に、中川事務所はこう回答した。
「政策活動費は政策活動以外に支出していません。耕道会館へは、それぞれの使用者が税理士と県の指導を受けながら家賃を支払っています。旅行会や野球観戦はこちらの主催でなく、中川は会費を払って参加しました。ただし、ご指摘の重複記載は事務的な誤りが判明しましたので、後援会の収支報告書を訂正します」
重複記載されたカープ観戦では、15万5000円の利益が出ているが、後援会は「ない」利益を計上したのか。いずれにせよ、こんな男が経産大臣政務官だったとは、日本国民であるのが恥ずかしくなるが、
「実は、政務官候補になった際、身体検査で黄信号が灯っていたんです」
と、俊直氏について、さる政界関係者が明かす。
「政党支部と個人の間で、政策活動費の名目で資金が頻繁に移動している収支報告書は、法律違反ではないものの明らかに異常。それが官邸の担当者の目に留まっていた。加えて、女性の噂が流れていたからです」
だが、それでもバカ政務官が誕生したのはなぜか。政治アナリストの伊藤惇夫氏が言う。
「政務官を選ぶのは各省の大臣ですが、もちろん安倍総理にも責任がある。ところが、失言大臣や問題政務官が続出しても内閣支持率に響かないから、本人の資質と関係なく適当にはめ込めばいい、ということになってしまっています」
だが俊直氏の場合、政務官としてどうか、という前に、人間としてどうか、という次元である。
「本来なら党が辞職を指導するくらいでいい」(同)
重婚ストーカーに不倫の連鎖。そのうえカネの管理もできない男が、代議士でい続けていいはずがない。
特集「離党じゃ話は終わらない! 今度は年間700万円が懐から消えた!! 重婚ストーカー『中川俊直』前経産政務官に使途不明の『政治資金』」より
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