「金正恩」クレイジー逸話集 演説中に“ウトウト”の幹部を高射砲でこっぱみじんに

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■元北朝鮮一等書記官が明かした「金正恩」クレイジー逸話集(上)

金正恩

 今や朝鮮半島は「アジアの火薬庫」。その元凶は、外に核とミサイルの開発を喧伝する一方、内では人民を手にかける「金正恩」にある。世界を翻弄する33歳の「首領様」とは一体、何者か。北朝鮮を知り尽くす元一等書記官が、そのクレージーぶりの一端を明らかにした。

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 歴史上、暴君と言えば、すぐに思い出すのは、ローマ帝国のネロ皇帝であろう。母や妻を殺め、キリスト教徒を大量弾圧したことは、広く知られている。

 金正恩はその現代版とでも言うべきか。叔父に続き、異母兄を化学物質で殺害。勝ち目のないアメリカに蟷螂(とうろう)の斧を振り上げているのは、周知の通りだ。

「制裁に執着するなら、我々との関係に及ぼす破局的な結果も覚悟すべきだ」

 衝突の緊張高まる中、北の国営メディアがそう論評し、周辺国に改めて敵意をむき出しにした4月22日。

 平壌から1300キロ離れた東京で、北朝鮮の元高官による講演会が行われていた。壇上に立ったのは、韓国・国家安保戦略研究院の高英煥(コヨンファン)・副院長である。

 主催した「NO FENCE 北朝鮮の強制収容所をなくすアクションの会」の宋允復(ソンユンボク)・副代表によれば、

「高さんは北朝鮮の元外交官で主にアフリカ外交に従事。ザイール大使館の一等書記官や金日成のフランス語通訳も務めました。1991年に韓国に亡命。国家情報院傘下のシンクタンクに在職し、脱北者などから聞き取りを続けてきた。北のナマの情報に接し、韓国で第一級の分析家と言われています」

 それゆえか、高氏は昨年、北から暗殺指令を出されたばかり。日本で講演会を行うのはこれが初めてという。

■飛行機攻撃の機関銃

 テーマは、「金正恩の恐怖政治とその展望」である。序盤で「ある粛清」について述べた話は、「お坊ちゃま」の狂気を示して余りあるものだった。

「銃殺に用いたのは高射砲。中でも四身高射砲というもので、これは銃身が4つ束ねてあり、1つの銃身から、1分間に150発、14・5ミリの弾が出る。4つですから600発……」

 本来、飛行機を攻撃する際に使われる機関銃で“処分”されたのは、玄永哲(ヒョンヨンチョル)・人民武力部長である。日本で言えば防衛大臣で、軍では大将の位にもあった。粛清は一昨年の4月30日。最高幹部ゆえに当時も大きく報じられたが、その真相を高氏は明かした。

「玄は4月の初旬、ロシアで軍の指導部と会談、防空ミサイルの最新データを提供してほしいと頼みました。すると“あなた方の指導者は、わが軍は世界で最強と公言している。なぜ支援しないといけないのか”と言われた。これを金正恩に報告したところ、大変批判されてしまったのです。家に帰った彼は奥さんに“若い指導者を頂いて指導をするのはやりづらいものだな”と愚痴をこぼした。幹部の家が盗聴されているのを度忘れしてしまったのです」

 これを聞いた金正恩は怒髪天。そんな中、致命的な出来事が起きたという。

「4月下旬、軍の幹部大会が平壌で行われ、金正恩は演説をしました。彼はいつも、自分が演説をしている時に他の人がどういう表情でそれに対しているのか、後でモニターでチェックする。そこで玄がウトウトしているのを発見した。ただでさえ頭に来ていた正恩は“もう銃殺しろ”。4月30日に軍官学校の憲兵場で、250人ほどの将校クラスを集めて高射砲で銃殺することになったのです」

 むろん、理由はそれだけではなかろうが、引き金を引いたのが実に些末な話であることは言うまでもない。一方でやり方は残虐だった。

「まず頭から、そして足の方まで撃ちおろしていった。当然、彼はこっぱみじんになって絶命しました」

 目の当たりにした将校たちは、砕け散る肉片に己の行く末を重ね合せ、恐怖に慄いたに違いないのである。

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(下)へつづく

特集「軍大将を高射砲処刑でこっぱみじん! 元北朝鮮一等書記官が明かした『金正恩』クレージー逸話集」より

週刊新潮 2017年5月4・11日ゴールデンウイーク特大号掲載

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