マレーシアご訪問 皇太子さまの「SMARTトンネル」体験

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 マレーシアで垣間見えたのは殿下の思いだった。皇太子さまが13日から17日までの間、当地を訪問された。同行した記者の話。

「国交樹立60年ということで政府から招待を受けたのです。ナジブ首相との昼食会では首相が皇太子さまとの自撮り写真を撮影するという場面もあり、終始、友好的な雰囲気。実は、滞在中に皇太子さまが切望されたのが、SMARTトンネルのご視察でした」

 2007年、地下に建設された全長9・7キロのトンネル。クアラルンプール市内の渋滞解消に寄与しながら、豪雨で川が氾濫しそうな場合は排水する機能をもつ。

「視察ではトンネルのコントロールセンターで係の者から30分ほどの説明を受けました。市街地のジオラマを見ながら、場所を尋ねるなど、熱心な様子でした。その後、車で実際にトンネルを通過されています」(同)

 なぜ、殿下が興味を持たれているのかと言えば、

「元々、学生時代から、“水”問題に関心をお持ちでした」

 と宮内庁関係者が言う。

「学習院大学の卒業論文は中世の瀬戸内海の水運について。イギリスのオックスフォード大学に留学中もテムズ川について研究されました。次第に興味の対象が、水害など水全体の問題へと広がり、世界水フォーラムなどで講演を行うようになったのです」

 かつて、皇太子さまにご進講したある専門家も頷く。

「その際、一方的にこちらが話すことはなく、自然と会話になってしまうのです。それほどの知識をお持ちで、鋭いご質問もされるということ。一昨年に国連で行った講演でも、このトンネルを取り上げるなど、世界の水問題をよく学んでいらっしゃると思いました」

 足かけ30年以上に及ぶライフワークである。

週刊新潮 2017年4月27日号掲載

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