船橋競馬場、5年分の赤字を一気に解消 ネットとライトで売り上げ増

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“赤字”“自治体のお荷物”という印象がいまだに根強い地方競馬場が今、空前の活況を呈している。

 そのうちのひとつ、船橋競馬場は、2015年度の単年決算で15億7000万円の黒字を計上し、5年分の累積赤字を解消。1991年度を最後に滞っていた自治体への収益配分まで再開させるに至ったというから、ヒッヒーンと嘶(いなな)きたくもなる。

 足繁く通う男性ファンの話。

「かしわ記念(G1)みたいな大レースは別だけど、お客さんの入りはずっと変わらず、ガラガラよ。なのにそこまで儲かっているなんて。ただ、自治体だけでなく、もうちょっと我々にも配分してほしいけどね……」

 主催の千葉県競馬組合に訊ねると、

「たしかに、来場者数自体はずっと横ばいなんですよ」

 とした上で、

「実は売り上げが徐々に上向いてきたのは、98年にウェブ投票を導入してからのことです」

 と、胸を張るのだ。

「ただ当初は、パソコンでしか買えなかったんですが、ここ10年でスマホが普及し、アプリから手軽に買えるようになった。これによって馬券を買う人が爆発的に増えたんです」(同)

 売り上げ増に拍車をかけた要因はもうひとつある。

 競馬ジャーナリストの話。

「ナイター設備の導入が大きい。これまで平日の昼間しかレースができず、勤め人は参加できなかったのが、これで解消された。船橋では一昨年からナイター競馬を開催し、売り上げが増加したんです。2009年にナイター設備を導入した高知競馬場も、昨年度の売り上げが過去最高の253億円をマークしています」

 地方競馬を救ったのは、オグリキャップのようなアイドルホースではなく、“ネット”と“ライト”だった。

週刊新潮 2017年4月20日号掲載

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